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ミーターの大冒険 第四部 コンポレロン 第1話 「紫の夜を

113ミーターの大冒険 第四部 コンポレロン 第1話 「紫の夜を超えて」

あらすじ

ミーターは亡きアルカディアの遺志通りアタカナ探索にターミナスから旅立った。傍らには、不思議な自らをイルミナと名乗る「銀河帝国辞書編纂図書館」のバーチャル・コントロールが同乗していて、ミーターの話し相手になっていた。二人を乗せたファー・スター2世号は順調に加速を上げた。
 しかし、目指す禁断の天体オーロラに辿り着くルートが見つからない。ミーターは、その情報をコンポレロンで手にはいるとふんだ。
 進路をコンポレロンにとった時、ジスカルド・ハニスからハイパー・ウェーブ通信が入った。
 二人の若いターミナス人が「別動隊」の候補者として名前があがった。
 アルカディアのラヴェンダー農園のはじまりの母系先祖の「グレディア」のことに話題が及び、ミーターは何かの記憶を呼び覚ます。

「グレディア」は、そもそもサルヴァー・ハーディンの次女の名前だった。その名前を、ハーディーの次女に薦めたのは、コンポレロン出身のボー・アルーリンであり、彼はコンポレロンの伝説にある女と船長の恋愛物語を知っていた。
 ところがミーターはアルカディアが、説明してくれたガール・ドーニックがハリ・セルダンに提出したという「故郷星探索記録」と一致する内容に思い至った。
 ガール・ドーニックがまだ彼の故郷の星、シンナックスにいた頃の記録が捕捉されてあって、それには、ある寺院の裏にあった石棺の中に二体の遺骨を発見していたという。その蓋には「夢多き300歳の若きグレディア・ソラリアとダニール・ジスカルド・ベイリーここに眠る」と刻されてあったというのである。
 ミーターとイルミナの驚きは、彼らを哲学者や詩人に変えたというほど衝撃的であった。

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ミーター さっき、オリンサスさんが若いとき、コンポレロンの友人からそれとの接触技術を教わった、という話しをしたよな。

イルミナ ちゃんと覚えていますよ。宇宙構成の三要素との接触ということね。

ミーター グレディアはたしか、55年生まれだ。「銀河百科辞典」の第一巻が発行された記念のときだ。グレディアといえば、ラヴェンダー畑。別名、「別紫蘇」。我らの誇りの象徴だ。のちにポニェッツによって、そのダーク・マターとの接触によってその浄化作用が強化されたと理解できる。
 俺はそのエキスがアルカディア農園から、イオスに運ばれたのを、この目でしっかりと覚えている。
 その別紫蘇は、どのように、ターミナスに移植されたか、知ってるか?

イルミナ ミーターさん、知ってるわよ。あのベリスさんが、ジンジャーの花を髪に刺して「黒い涙の太陽」の像に会いに行ったんですよね。

ミーター そうだ。そのことが、ずっとのちにターミナスが、トランター帝国に発見認可されるきっかけだったかも知れない。

イルミナ まあ、そんな以前から、ニフ人(シンナックス人)たちは、後世ターミナスの重要性を判子を押すように後のファウンデーションの人たちに極めて重要なことを伝えていたのね。それからニフ人たちは故郷に帰って行ったのね。

ミーター いいや、違うね。彼らの目論見は、その逆だね。ターミナスがこの天の川銀河の最果てにあることからして、ターミナスに記念像をただ一人の人間に示したかったと思う。それからまた彼らは新たな冒険の旅を続けていった。銀河を離れて、外宇宙へとね。
 
イルミナ たしかに、ミーターさん、言われてみれば道理ね。ベリスが、行った次の日にはその像はすっからかんと消えていたんですからね。

ミーター 話しを戻すとだね、いいかい、もっと驚くことがある。ピレンヌの像は、「辞典広場」に建ってる、その隣が広大なドーニック公園の敷地だね。

イルミナ ということは、ですね! ミーターさん、あなたは、あのガールが、ウォンダの妹のベリスに、ガールがウォンダから頼まれたペンダントを渡した場所が、あとで、ピレンヌの像が建った地点だと言うのね!
 
ミーター お見事、イルミナ!しかもだね、アルーリンの職務室は何処だったか、お前なら推測できるね?
 
イルミナ ええと、ええ、まさかピレンヌの像っていうのね!

ミーター ここまでくれば、この大探索と銀河復興に、お前が抜擢された理由がわかるというものだね。
 その立体構造が、トランターの中心部と呼応している極素輻射体の照射拡張装置そのものなんだととしか思えない。
 そして、ねえ、その極素輻射体の照射の果てにこの銀河の反対側に、目指すアタカナがある。
 そして、ねえ、イルミナ、もうそろそろ、このファー・スター2世号は、コンポレロン星域に着く頃じゃないのかい?

イルミナ まあ、「ギリギリを潜り抜けてっていう、特別な惑星、紫色の夜を超えて」っていう!

https://youtu.be/nqjkgsRD7Sw



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