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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第3話 秘められた使命

185第3話秘められた使命
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第3話

秘められた使命

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャンが待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

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ミーター へえ、その人たちって、移住していったところというのは、もしや?

ペイリー 察しがいいですね、ボスミーター。 私たちが見た、海中から浮かび上がった光の柱から南側の広い平野だったところです。パパは、かつて地球を訪れたところで古代のカッシ市があったといってました。

ミーター カッシ市か!廃墟の!

ペイリー そう、カッシ市!そのカッシ市が希望と祝福になる、と言ってました。

イルミナ そこから、すべて、再生ということですね。私たちに新しい任務というのは、その祝福の光を全銀河に行き渡らせることですね。

 2万年前のジョン・ナックは、私たちが2万年後に地球を再生すると思っていたのでしょうかねぇ!

ミーター 彼が今生きてたら、「だいぶ遅かったなあ!だいぶ待ったぞ!」って言うんじゃないかなあ!

イルミナ こういう古代の格言がありましたよ、「光陰矢のごとし、しこうして学なりがたし」。

ミーター 学(がく)ってなんだ?

イルミナ ごめんなさい、今回は「学なりがたし」、っていうのと「光陰矢のごとし」とは結びつきはしませんけど。

ミーター 待てよ、イルミナ、「2万年経っても、ジョン・ナックの願いや『児童のための知識の書』の未来予想図にはまだ及ばない」と理解したらいいのじゃないか?

ペイリー そうですよ。私にパパが今回あなた方の仲間に入るように言われた理由っていういうのは、ですね。今、ミーターさんが言われたことなんですよ。
 
ミーター どういうこと?

ペイリー 500年前、ハリ・セルダンは、彼が亡くなる約2年前、彼自身が作り上げた心理歴史学のどこかに瑕疵があるんじゃないかと悩み落ち込んでいた時がありました。
 その時、それを哀れんだパパが、ハリにそれなら、ガールに再度の地球を探訪させて心理歴史学の残った不明の定数を調べさせたら、と進言したことがあったんです。
 後、そのガールの定数で微調整したのが、「微細心理歴史学」として第2ファウンデーション内部で結実させて行ったのです。
 いわゆる「修正セルダン・プラン」としてです。

ミーター 少し込み入ってるんだなぁ!
 それで?

ペイリー そして、今パパは、その時のハリと同じ心理状況に陥ったみたいなのです。残念ですが、パパはもう長くは持たないでしょう。悲しいですが、これが現実です。
 そして、パパはジスカルドと作り上げた第零の法則やガイア世界が、本当に正しい未来の銀河像だったのか、あやぶんでいるようです。

ミーター なんとまあ、考えられないことだ!

 ダニールも寿命なんですか?
 第零の法則やガイア世界にどこか瑕疵があるなんて、考えられないけどなあ!

ペイリー それが思い過ごしであればいいのですが。
 それで私にお二人と、銀河復興にコミットメントしながら、「第零の法則」や「ガイア」の有効性について確証させようとされているのです。

ミーター それはそれは全くの難題だこと!
  
 それで、どうやって?

ペイリー 今はかいもく検討もつきません。ミーターさんとイルミナさんに助けてもらう他ないのです。

ミーター いやはや、相当なお荷物を背負ってしまったようだな、イルミナ。

イルミナ いいや、ミーターさん、それは全く違うと思いますよ。

 ペイリーさんの申し出ては至極妥当ですよ。不死の従僕様の単なる思い過ごしでは、ありませんよ。我ら人類の共通の課題なのではないでしょうか?

ペイリー 有り難うございます!

ミーター

 イルミナ、お前って、俺ら二人が人間でないって、完璧に忘れてるよな。ワッハッハ!

※ガールの築いた微細心理歴史学は、ベイタ・ダレルによって再発見されます。是非、『ファウンデーションの夢』第六部 ベイタ・ダレル 第5話 ミュータント をご参照ください。

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