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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第2話 白瑪瑙のイヤリング

184第2話白瑪瑙のイヤリング
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第2話

白瑪瑙のイヤリング

あらすじ

ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

そこにダニールとペイリー・リャンが待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

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ミーター それにしても、ペイリーさんの耳たぶのイヤリングがすごく気になりますね!なんかのおまじないですか?

ペイリー これね、パパが、「お前のいわれを忘れてはならない」と小さいころからつけさせられているんです。

ミーター へえ、どういう「いわれ」か、教えてくれないか。

ペイリー はい、いいですよ。思い出しながら話せば、もっといいことが起こりますからね。

ミーター ヤッパリおまじないなんだ。アルカディア家の「直感、感応...再生」と同じようにな。

ペイリー そのおまじないなら、知ってますよ。パパのオリジナリティだったんですから。

ミーター えっ!そうだったんだ!てっきり、アルカディア家の独創かと。

それで、そのイヤリングについては?

ペイリー 白瑪瑙のイヤリングよ。
 ニフの古代のある地域の女性たちのおしゃれだわ。確か、「ナカ」という地方よ。「ナ」が「耳たぶ」、「カ」が白瑪瑙よ。
 白瑪瑙の由来は、心のバランス、そして人と人の調和。それから潜在能力の可能性思考だと。

イルミナ そうね。「心のバランス」、「人と人の調和」、「潜在可能性」ねぇ!
 私たちのモットーにしたいわね!

古代の言い伝えでは、ある男性が川で湯浴みをしている女性に恋して、求婚し、白瑪瑙のイヤリングをあげて、それからその地方の王様になれたとか。
 それから、その地方の女性たちが年頃になると耳にそれをつけるようになった、という言い伝えよ。

それからこの人たちはニフの遠い東の地方に移住していったと言われています。

伝説では、ジョン・ナックもその地方の出身だと教わったわ。
 その「移動」を思想まで発展させたのが、ジョン・ナックだと、パパは言ってました。

ミーター それは意味深い物語だ。
 第零の法則か?その移動の思想はその『児童のための知識の書』の心髄だね。

ペイリー 驚きました。どうしてそのことをミーターさんはご存じなのですか!!

その本を、パパは私の子供の頃から読み聞かせてくれたんです!

ペイリー 白瑪瑙は、心を愛で満たす意味と効果があります。
 そして、寂しさ、孤独、悲しみを、優しく癒すパワーがあるのです。
 この天涯孤独の私を拾って、慈しんで、育ててくれたのはパパでした。
 ですから、私は瑪瑙は「第零の法則」のシンボルだと勝手に考えています。

それにしても、私は、ミーターさんの胸ポケットが気になりますね?

ミーター これか。このなかには大事なシリンダー・ペンダントが2つ、入ってるんだよ。
 透明と紫のがな。いずれ、時期が来たらお見せしよう。アルカディアの大事な遺品だからな。

ペイリー ミーターさんたら、ホントにケチなんですね!


一説によれば瑪瑙の勾玉が卑弥呼の占いのための石だとか。

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