仮想と現実が繋がる世界。『竜とそばかすの姫』
昨年公開の作品で、映画で観た際にボロ泣きした作品。アマゾンプライムで観れるようになったので、改めてじっくりと鑑賞しました。
物語の舞台はまずは、高知県の田舎町。そこにに暮らす女子高生・すず、が主人公です。
幼少期に母親を亡くした影響で、歌えなくなった彼女は、インターネット上の仮想世界<U(ユー)>で自らの歌声を解放し、歌姫「ベル」としてブレイクを果たす。そんな彼女の前に、人々から忌み嫌われる「竜」が現れて……。
母親との別れ、と言う、トラウマに悩まされ、大好きな歌が歌えなくなったすずは、リアルの世界に居場所を見出せないでいます。
そんな彼女がバーチャル空間「<U(ユー)>」でベルというアバターを介して“別人”になることで世界中の人々とつながり、居場所を得ることで、リアルでも自分の殻を破って変わっていく。
映画館で観た時は、そこに、ただただ感動しただけでした。
今日、改めて鑑賞して気づいたのは、この作品のは、あえてインターネットやバーチャルの良いところ、を多めにストーリーに盛り込んでいる点です。
物事には良い点と悪い点がある。ネットについて論じるときには、インターネットの功罪、なんて言い方で、必ず良いことと悪いことを公平に扱います。
でも、公平に両論併記は、意見じゃ無いですよね?そもそも、人は悪い方の情報に敏感に反応するのですから、公平に伝えると、公平には伝わらない、と思いますし。
物語の終盤、すずは、仮想空間での自分を変える決断をします。
その姿を、リアル世界で、彼女を見守り続けて来た周囲の人達が、同じ仮想空間にちゃんと居て、同じように彼女を見守っているんです。
そんなリアルとバーチャルの、温もりのある繋がりの姿が、この物語では、しっかりと描かれています。
最終的には、バーチャルでの経験が、リアル世界に良い影響を与える形になっていますが、必ずしも「やっぱりリアルこそが正義だよねー」という結末にもなっていません。このバランスが良いです。
メタバースなど、これから、リアルとバーチャルが、より一層溶け合う世界になると思います。
その際、出来るだけ良い面にフォーカスを当てて、新しい世界が、温かく善い世界になるような議論を積み重ねて欲しいなぁと思ってます。
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