『1億円の低カロリー』

ある日、社長が全社員を会議室に召集した。業績が低迷しているので、全社員が「ああっ、ついに潰れる日が・・・・・」とうなだれながら会議室へ向かった。

「うちの全商品を低カロリーにしてくれる液体があるらしいんだ。一億円かかるけど、いいよね」

どうやらまだ潰れるわけではないらしいが、この男、ついに気が触れたのか、と全社員に戦慄が走った。

「ちなみに、どこの誰が作っている液体なんですか?」

「娘の婿の弟の友人だよ」

ハア、と全社員からため息がもれる。家族経営でここまでやってきた社長は、自分の血縁が絡むとどんなに胡散臭いものでも信仰する傾向があり、信仰モードになると社員から反対の声が出ても、黙殺してしまうのだ。

「お前たち、何を尻込みしてるんだ!全商品、味は変わらずそのまま低カロリーだぞ!安いもんだろう!」

「し、しかしさすがに社長、今回はいくらなんでも・・・・・」

「なにーっ!?」

社長は忘れている。弊社は印刷会社だということを。

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