花手毬

自分の中から出て来る言葉を外に出したくなりました。 いろんな世界観を表現出来れば面白い…

花手毬

自分の中から出て来る言葉を外に出したくなりました。 いろんな世界観を表現出来れば面白いな..

最近の記事

笹舟

生まれて初めて出会う舟は笹舟 小さな指先で織りなす笹舟 幼き心を乗せて旅をする 言葉を紡ぎながら一艘 花びら一枚乗せて一艘 小石をそっと乗せて一艘 蝶々は舞を止め笹舟にとまる 蜻は笹舟には乗れまいと側を飛ぶ アメンボは弾けながら航路を譲る 大きな石の間に出来た小波に乗り 沈まず進む姿を魅せる 小川が陽の光を纏い輝き 豊かな水と緑の香り 幼き心が手をたたき喜ぶ笹舟の旅

    • 少年の贈り物(短編小説)

      1980年代 バブル経済で傍に湧く日本経済 男女雇用機会均等法が話題となり時代は 大きく雄叫びを挙げていた。 真っ赤な口紅と統一ブームメントのロングヘア の女性が曲線美を誇らしげに惜しみなく魅せる 時代。世に出す高価な品が着々と準備されていた。  「おーい、伊達さんこっち来て〜」 期待も違和感も無く淡々と手招きに向かった。 「あのさ、山口さんが体調崩して暫く休暇           する事になったから。 急で悪いけれど、明日から◯◯百貨店に      入ってくれないか

      •  丸いもの

         生まれて初めて髪を洗った時            お腹に落ちた丸い泡  猫の目に見える色がコロコロ動き          きらきら輝く丸いビー玉  小さく吹いてもゆっくり吹いても出てくる      七色の輝きをもつ丸いシャボン玉  腹もち約束の丸いお餅とお団子  受け止め合う度に心が通う丸いボール  時代を照らし続けている丸い豆電球  仲良く使うと約束した丸い硬貨  漆黒の夜空に染まる事の無い黄色の          丸い丸いお月様  丸いもの  丸いもの 

        • 目に映る全て

          「右」...「下」...「う..左?」 「あのね、当て物じゃあ無いですからね。」 最近すっかり検眼に時間がかかる様になった。 無意味な自分の抵抗はプロの眼を誤魔化せない。 それでもついつい正解を求めて目を見開く。  「はい、力抜いて。上見て、下見て...」  「良いですね。異常無し。綺麗ですよ。」 この嬉しい瞬間に小さくガッツポーズ。  「ところで、この前購入したカラーコンタクト              はどうだった?」 目の美しいこの眼医者さんは偶然に

          挫折の取説(短編小説)

          夏の始まりを待つ頃。 休日の電車の中は夏の予定を語る嬉しそうな 声が溢れている。 楽しい休日の軽やかな気持ちと、バイトに向かう 気の抜けた俺の気持ちを乗せた電車。 耳で気配を拾いながら何時もの様に携帯を出す。 ついでにガムを取り出し口に放り込んだ。 携帯の画面に太陽の光が差し込んで見え難い。 自分勝手には調整出来ない車中の日除に目を移した。一瞬、急に車中の風景に時が止まった感覚に 襲われる。 車両内の右から左へと眺めて驚いた。 座っている人や立っている人。 全ての人が携帯

          挫折の取説(短編小説)

          紫陽花の色に悩んだ日

          母の日 お母さんがいる人はお母さんに感謝をする日 お母さんの体温を感じる事が出来ない人は お母さんを感じてみる日 母なる地球。母なる大地。 母の言葉は包まれる不思議な一文字。 自分にも母が居てる。 数日前から意識は母の日にフォーカスされて いた。文字に起こしたい気持ちも消えず彷徨った が書けなかった。 彷徨う心の理由は、自分の誕生と共に発病した 母と自分の絆の真ん中には常に病気があった。 悲劇を書きたい訳では無い故に纏まらない。 勘違いかも知れないが、たまたま見つけて

          紫陽花の色に悩んだ日

          母さん日記

          お気に入りの瓶に水を入れ落としてしまったポトスを挿す。太陽の光が当たり綺麗だ。 瓶を見つめながら大型連休も帰省しなかった息子の事が脳裏に浮かぶ。 もう何回帰って来ないのだろうか... 心に空く極小の穴は早急に塞いでおかないと特大の穴になってしまう。 手当として昔残してくれた優しさを包帯にする。 数年前の巣立つ日の事....  「何してるの?」 肩から斜め掛けをした鞄から財布をゴソゴソと探している私に怪訝そうに息子が言う。  「何って、見送る為に新幹線のホームに入る   

          母さん日記

          子供の日

          今日は5月5日。 子供や孫のいる人は子供と共にする日 子供がいない人は偶然に見かける子供を感じる日 子供が苦手な人は子供の日だから出でくる商品を 食べたり見たりする日 羊水で泳いだその後に 急に大人になった人などいない 皆、子供の日があったのだ 子供の日をどんな日に仕上げるかも 連休明けの成長になる気がする 仕事に向かう道すがら自転車に乗った親子を 見かけた。 何度も愛らしいお母さんの髪が優しい風に靡いていた。その愛らしい女性が近くなると同時に 声が聞こえて来た 「

          子供の日

          老化は進化とする

          「ウィーン。」「ガーガーキーン」 白い小さな部屋で鳴り響く音 何度聞いても耳に障る音 「我慢。我慢。 一生自分の歯でご飯を食べる為だ。」 「はーい。終わりましたよ〜。」 「綺麗になりましたね〜。」 繊細な作業を軽快な声かけをしながら 仕上げる尊敬すべき人の声かけでホッとする。 「ありがとうございました。」 「あの...先生に質問をしたいのですが....」 頭の上で大きな風を感じた。先生の御成だ。 「先生、私は最近歯が伸びて来ました」 一瞬時が止まった様な感覚

          老化は進化とする

          朝の音

          朝の音は季節によって変わる 朝の音は何かを伝える 朝の音に耳を澄ませる 朝の音は命の音 朝の音に鈴の音が仲間入りする春      新しい生活を始めた命の鈴の音 朝の音が楽しみになる

          言葉

          祖父に見守られながら遊んだ川に自然と足がむいてしまった。 自然と言い訳をしながらも心の奥底では理由が判っている気もする。 ゆっくりと腰を下ろすな否や一羽の白い鳥が美しい羽根を広げて舞い降りて来た。 人慣れしているのか余りにも近い距離と目線をしっかりと合わせて来る様子に驚いた。 瞬間に頭へ映るイメージは高級ホテルの優秀なベルマン。 嫌味の無い気高さに荷物を預ける安心感がある 見透かされている。 「あのね」...... 音にしない言葉で聞いてもらう事にした。 自分が何か

          桜の花びら

          桜待ち侘びて 桜咲く 桜のカーテンが日本を覆う 桜の下で沢山の笑顔が咲く ポンポンっと音がする様に愛らしく咲く 桜の木に緑の小さな葉飾りを感じる頃 桜の花びらが終わりを繋ぐ 柔らかな小風に躍る様に舞い 真新しい制服の肩に留まり ベンチに腰かける人の横に降り 配達荷物を抱え働く人の手に忍び留まり 段数の多い階段を見上げた光景は 階段を上がる事に心が躍る様な 踏む事を躊躇う様な 登りたい気持ちと遠回りする気持ちが 交差する ベランダの床に一枚のはなびら こんな上まで 「

          桜の花びら

          初めての舞台(小さな記憶)

          「道路に出たら危ないさかいにな。        出たらあきませんで。」 「う..ん...。はい。」 「大人しい子やな。何や皆と遊ぶの嫌か。」 「いや...。......」 (まさか、意地悪されるとは言えんな...) 京都の昔ながらの日本家屋と長い路地。 着物姿を貫く凛とした祖母と孫である少女 の会話が響く。 「お酒を配達してくれはるから、      来たら言うてな。 ほなな。」 「う...う...ん。 はい。」 祖母の背はお楽しみがある。 それは帯の柄。家

          初めての舞台(小さな記憶)

           春の待ち方

          冷たい風が吹く春の日。 皆が口々に桜を待つ話しをしている。 桜の気持ちはどうであろうかと想い 桜の木の下に行ってみる。 桜に問いたところで返事など無くただ眺める。 桜が喜びの音を奏でる様に咲くと命達は喜ぶ。 桜の帯が日本を包む頃には命達の喜びは 満開となる。 全ての壁を超えて与えられる喜びは奇跡の風景。 命達は、喜びに溢れるからこそ咲く姿を待つ。 改めてその奇跡に感謝をする。 立ち去る前にもう一度、桜の気持ちを想像する。 咲くまでの時間を何とする。 咲くまで待てるか。

           春の待ち方

          木蓮の花

          春便りが届く頃 少しずつ日暮時が足踏みをしてくれる そんなゆったり時間は心が喜ぶ お目当てのパン屋さんで お目当てのブルーベリーの入ったベーグルを一つだけ買った。 そのベーグルを公園で元気に遊ぶ子供達の姿を 見ながら、3口の摘み食いをする事をお昼間に決定していた。 公園に近づくと雨上がりだった事に気が付く。 お昼間は忘れてしまう程の小雨だった。 霧の様な小雨も降ったり止んだりすれば 木々に沢山の潤いをもたらすものだよと 木で出来たベンチが語りかけてくれた。 お約束のベー

          木蓮の花

          空に放った言葉達

          春を迎える準備の霧雨の夕方 お気に入りの紫色の傘を広げたいからさす。 週末の仕事帰りの夕方はいつも人通りが少ない 道行く人は皆ご機嫌な顔をしているから自分ではお気に入りの時間。 お気に入りの紫傘をクルクル回して歩いていると 前から笑顔の親子連れが歩いて来た。 自転車の補助席に幼子を乗せ、母であろう若い女性が美しい母性の笑みで見つめる。 横に寄り添い歩く父であろう若い男性が2人に雨カッパを優しくかける。 自分の分は無いよっと両手の脇を締め、手の平を空に向けて戯ける。 次

          空に放った言葉達