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起業家は夢を見る。それを叶えようという意志を持つ

アントレプレナーシップについて


社会は起業家を求めている

まだ、コンピューターというものが特別な場所にしかなく、モニターも文字が数行表示されるだけ、HDDやSSDはなくて、パンチテープにデータを保存しているような時代。高校においてあるコンピューターに興味を示した少年は、教師に掛け合って、「席順を決めるプログラム」をつくりました。もちろん、彼が気に入った女の子と近い席になる秘密のコードを埋め込んで。彼は後に、そこで出会った仲間と起業します。その目的は「すべての人々に、コンピューターを届けること」。彼の名前は、ビル・ゲイツ。

そのビル・ゲイツのおかげで幼少期からコンピューターに触れていた少年は、友人がコンピューターゲームに興じる中、ゲームをつくることに没頭します。やがて高校生になると、音楽配信サイトを立ち上げ(このサイトはMicrosoftから買収提案があったそうです)、大学に進んでからも講義情報マッチングソフト、美人投票ソフトといったサービスを立ち上げ続けます。そして、SNSに興味を持ち、Facebookを起業します。映画化もされたマーク・ザッカーバーグのエピソードです。

Googleのラリー・ペイジは、まるであてにならない当時の検索エンジンに対して、「ウェブ全体をダウンロードして、リンクの記録を取る」というアイデアを思いつきます。当時は全くクレイジーで、担当教授にも呆れられたそうです。しかし、彼はこう言っています。

「こうしようと決めた目標に向かう時は、ちょっとまぬけでなくちゃいけないのさ。僕が大学で学んだ言葉に、こんなのがある。『不可能に思えることには、できるだけ無視の姿勢で臨むこと』。これって本当にいい言葉だろ。できるはずがないと思われていることに挑戦すべきなんだ」(『Google誕生』p23)

「適切な人材と壮大な夢がそろえば、たいていの夢は現実になる」(『How Google Works』p6)

Amazonのジェフ・ベゾス、Appleのスティーブ・ジョブス、いえ、こういう話をする場合はジョブズの話が先だろうという人もいるでしょうが、こういう創業のエピソードを聞いてどう思うでしょう。これらの企業はGAFAMといわれ、その影響力が大きすぎて、各国政府、EUから警戒される存在になっています。その売上高はちょっとした国の国家予算を超えています。

「やっぱり、会社の創業者って、凄い人なんだね」
「ある意味、普通の人とは全く違う思考をしているんだなぁ」
「みんな、子供の頃、学生の頃から、抜けていたんだろうなぁ」

こんな気持ちになるかもしれません。しかし、生まれ持った天才だとか、若い頃から才能の片鱗を見せていたとか、貧乏や幼少期の逆境だとか、そういうこと以外に、大事な共通点があります。

それは「夢」です。

世界の起業家の共通する夢

そんな抽象的な話をされても困ると思うかもしれません。でもビル・ゲイツは「すべての人にコンピューターを」と願った。マーク・ザッカーバーグは「みんな友達になってつながればいい」と考えた。ジェフ・ベゾスは「全世界で出版されている本を、どこでも買えるようにしよう」と思いつき、両親の貯金を使って自宅のガレージで創業しました。ラリー・ペイジは「求める結果を提示できる検索エンジンがあれば、世界中の誰もが楽しめる」と夢を描いた。

当初は夢物語に見え、人生の先達はもちろん、友人から、親兄弟からも反対されるような話かもしれません。あなたの友人が突然「空を飛ぶ車で誰もが自由に移動する社会をつくりたい」と語ったらどうでしょう?「そんな映画あったよね」と流す。「へぇ、すごいね」と別の話題に移る。それでも「だから手伝ってくれ」「出資してほしい」と言われたら?止める?間違いなく、躊躇するでしょう。距離を置こうと思うかもしれません。GAFAMの創業者たちもそうだったはずです。いまわたしたちは、GAFAMが世界を支配?している社会に生きています。だから、その成功の物語は知っている。でも創業当時は、彼らはまだ、何者でもなかった。

ただ、彼らには「夢」があった。マーティン・ルーサー・キングの有名な演説、「I have a dream.」で始まるあの演説のように、「こんな世界になればいい」という夢があった。そして、行動した。周囲に協力者が集まった。共感が生まれたからです。「儲かりそうだ」で動くのが資本主義です。しかし儲かるためには、共感が必要です。資本は「共感」が生み出した流れの一つです。

簡単にいえば、だからGAFAMは大きくなった。いまも、アメリカでは、さまざまなスタートアップが生まれ、成長し、あるいは失敗しています。そのなかに、きっと5年後、10年後、20年後のGAFAMがいます。別にネットやITの分野に限定されません。身の回りにあるものはどれも、「誰かが生み出した」ものです。それは何も特別な人達だったわけではありません。ただ「何かを変えたい」という夢を持った人たちが、それを生み出したのです。なにも一部の天才が世界を変えてきた訳ではないのです。

起業家は特別な存在なのか

誰だって夢は持っているはずです。それを実現するために「起業」という選択肢を取った人が、たまたま「起業家」と呼ばれるのだと思います。そういう意味では、起業家は特別な存在ですが、誰もが起業家になり得るといえます。

ビル・ゲイツやラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグといった起業家のなかでも特別な人のエピソードから話を始めたので、「起業家は特別」という印象を強く与えてしまったかもしれません。でも、世の中にはたくさんの起業家がいます。
大成功している人もいれば、そこに向かって頑張っている人、状況が思わしくないのでピボットしようとしている人など、さまざまな状況にいる人がいます。いま、まさに起業しようとしている人もいます。

特別という言葉もまた難しい。何を持って「特別」というのか。世界的な起業に成長させた人だけがとう別なのでしょうか。小麦アレルギーの人のために美味しいパンを焼き続けようとして起業した人。その中でも、地元に特化して、自分でパンを焼き続ける選択もあれば、事業を成長させて日本中に、世界中にアレルギー対応のパンを出荷していこうと志向する選択肢もあります。

どちらも「特別」なのです。

起業家に特別な部分があるとすれば、それは「夢」を持っていることであり、それを実現させようとする「強い意志」があることではないでしょうか。

だから、私は、この記事で問いたいのです。

夢はありますか。
その夢を叶えたい意志はありますか?

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