Yasunori Matsuki

名乗るほどでもないインターネットと路上の観察者。

Yasunori Matsuki

名乗るほどでもないインターネットと路上の観察者。

マガジン

  • 影響工作の脅威

    「サルだから木から落ちる」私の好きな言葉です。確かに最初から木に登らねば、木の上から落ちる事もない訳です。これはまさにそんな私が「もしかしたら影響工作に引っ掛かった可能性がある」と感じた事例集…

  • 数理的溢れ話

    本文では脱線の過ぎる数理関連の話題の収納場所

  • 分布意味論時代の歩き方

    大英帝国が大西洋横断電信ケーブルを開通させたのが1966年。それ以前もそれ以降も世界中で鉄道への電信線併設や海底ケーブル設置が相次ぎ、米国を代表する詩人ホイットマンはそうした情景を「まるで世界じゅうが蜘蛛の糸で絡め取られていく様だ」と表現しています。そうやって世界の情報網を一つに束ねた結果、最後に現れたのが大規模言語システム(LLM)でした。そういう観点からの投稿を扱うシリーズ。

  • 2024年度「#未来のためにできること」に応募してみました。

    文藝春秋とnote編集部の2024年度共同企画「#未来のためにできること」への応募にかこつけて、これまで考えてきた事をまとめてみました。概ね1000字以内の本文と「その内容に至ったプロダクション・ノート的まとめ」のセットで構成されています。

  • 試論「人工知能概念はいつから存在したといえそうか?」

    山本義隆「磁力と重力の発見(2003年)」「少数と対数の発見(2018年)」やノーバート・ウィーナー「サイバネティクス(初版1948年、増補1961年)」の重厚な科学史観と現在の「機械学習と意味分布論の時代」を結びつける試み。私にとってはある種のライフワークで、以前の投稿から試みてきた内容の集大成となる予定。

最近の記事

  • 固定された記事

【挑戦してよかった事】「叩けよ、さらば開かん(少なくとも何も試みない人間は何処へも辿りつかない)」

2017年末、突如として数学再勉強を思い立ちました。今から思えばGoogleが後に一世を風靡した深層学習アルゴリズムの画期transformer論文が発表された年。もちろん当時からそんな知識を備えていた筈もなく、ただネットワーク上の可視範囲全体がGoogleの発表した人工知能開発フレームワークTensorflow関連記事で被覆され尽くし、かつそうした話に全くついていけない事に焦りが生じたのです。 なおTensorflowのチュートリアルは単層パーセプトロンと同内容のロジステ

    • 【影響工作の脅威4パス目】「米国におけるインディアン・コスプレ」問題の複雑怪奇さと大統領選に与える影響について。

      山岳ベース事件(1971年~1972年)以降の連合赤軍も… 最初の死亡事故を揉み消して以降のオウム真理教も… 急速に思想が雑になっていきました。沖縄の基地反対運動も…

      • 【対陣地戦用弾薬庫】「ツイフェミ」や「反生成AI派」は「反ワク派や親露派にまではなりきれない迷妄アカウントの自分探しの旅」?

        こちらの投稿の続き。 https://twitter.com/YazMatsuki/status/1850730114021306637 プロパガンダは、特定の思想、信念、またはアジェンダを広めることを目的とした情報活動であり、個人や集団の意見や行動を影響し、操作することを狙っています。政治的な宣伝、広告、社会的運動など多岐にわたる分野で使用されますが、常に特定の目標や結果を意識して情報が選別・操作されている点に特徴があります。プロパガンダの特徴と限界について以下で説明し

        • 【数理的溢れ話16パス目】まだ「推論する主体」の段階にすら到達していない人工知能アルゴリズムの現状についての再確認。

          たまたまX(旧Twitter)への投稿がこれまで考えてきた事の良い感じのまとめになったのでメモがてら。出発点は以下の「人工知能はなぜ嘘を吐くのか?」なる問題提起。 「 AI が、自身の無知を認識できた所から、 AI の真の知性が始まる」 AI 論 「自分のゆらぎの無い完成度こそが、自分の生命としての不完全さである」と語る、攻殻機動隊の人工知性・人形使いみたい…#士郎正宗 https://t.co/9jqghYH7cI pic.twitter.com/GVyi7TLAfI

        • 固定された記事

        【挑戦してよかった事】「叩けよ、さらば開かん(少なくとも何も試みない人間は何処へも辿りつかない)」

        • 【影響工作の脅威4パス目】「米国におけるインディアン・コスプレ」問題の複雑怪奇さと大統領選に与える影響について。

        • 【対陣地戦用弾薬庫】「ツイフェミ」や「反生成AI派」は「反ワク派や親露派にまではなりきれない迷妄アカウントの自分探しの旅」?

        • 【数理的溢れ話16パス目】まだ「推論する主体」の段階にすら到達していない人工知能アルゴリズムの現状についての再確認。

        マガジン

        • 影響工作の脅威
          6本
        • 数理的溢れ話
          17本
        • 分布意味論時代の歩き方
          30本
        • 2024年度「#未来のためにできること」に応募してみました。
          35本
        • 試論「人工知能概念はいつから存在したといえそうか?」
          16本
        • 21世紀的フランス革命の省察
          16本

        記事

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】線形代数とフェミニズム②エロスとバイオレンスの非対角成分?

          以下の投稿で導入した「二項問題の対角化」概念ですが… 以下の様な状況へも応用が効きそうです。 1970年代には黒人搾取映画(Blaxploitation)のパム・グリアーや東映ピンクバイオレンス映画の梶井芽衣子のセックスアピールが一時代を形成。これを1990年代から2000年代にかけてタランティーノ監督がリバイバル。 そして2010年代、KPOPグループの一つWonder Girlsが米国進出に失敗するとキム・ヒョナがセクシー路線で米国市場を狙った。 この路線で思う様

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】線形代数とフェミニズム②エロスとバイオレンスの非対角成分?

          【就活生向け業界分析】【本文無料】「コンサルティングなるお仕事の歴史」についての話。

          以下の投稿の続きみたいなもの。 本文(1173文字)プログラマブルなコンピュータの祖とされる階差機関(Differential Endgine)を設計した英国のチャールズ・バベッジ(Charles Babbage、1791年~1871年)は、同時にオペレーション・リサーチの創始者としても知られています。彼がその開発を思い立ったのは、それまで手計算で求められていた科学諸表があまりに誤計算だらけなのに苛立ったからなのですが、その組み立てに必要な精度の部品を揃えるには相応の生産ラ

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          【就活生向け業界分析】【本文無料】「コンサルティングなるお仕事の歴史」についての話。

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          【第三世代フェミニストの弾薬庫】線形代数とフェミニズム①第三世代フェミニズム運動の前身としての1990年代サイバー・フェミニズム運動。

          以下では「式が多過ぎる連立方程式は解けない」という問題から「最小二乗法による近似値の計算」なる技法が発明され、そうした数値最適化手段が統合される形で現在の人工知能技術が現れる様子を俯瞰しました。 そもそも「連立方程式が解ける」とはどういう事でしょうか?線形代数的にいうとそれは「完全な形で行列の対角化(Diagonalization)に成功する事」を意味しています。 $$ \begin{cases} 5x-4y+6z=8\\ 7x-6y+10z=14\\ 4x+9y+7z

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】線形代数とフェミニズム①第三世代フェミニズム運動の前身としての1990年代サイバー・フェミニズム運動。

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史③「伝統主義」が「国家主義」を経て「資本主義」へ

          この投稿は以下の投稿の続きとなります。 ここで取り上げた図式をさらに「伝統主義→国家主義→資本主義」の流れに整理してみましょう。 「伝統主義の勝利」の時代 アヴィニョン教皇庁時代(1309年~1377年)…色々あったが、とにかく最終的には贅沢の限りを尽くした退廃的生活を完全粉砕に成功。よって伝統主義の勝利。 イタリア・ルネサンス期(14世紀~16世紀)…フィレンツェでメディチ家が贅沢三昧の退廃的生活を送った前期ルネサンス(14世紀~15世紀)と、ローマでルネサンス教皇

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史③「伝統主義」が「国家主義」を経て「資本主義」へ

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史②宗教戦争と大航海時代が果たした役割を補足する。

          今回はこの投稿の続き。 以下の「表現規制派の勝敗スコア」何か歪だと感じたのですが… アヴィニョン教皇庁時代(1309年~1377年)…色々あったが、とにかく最終的には贅沢の限りを尽くした退廃的生活を完全粉砕に成功。よって勝利。 イタリア・ルネサンス期(14世紀~16世紀)…フィレンツェでメディチ家が贅沢三昧の退廃的生活を送った前期ルネサンス(14世紀~15世紀)と、ローマでルネサンス教皇が贅沢三昧の退廃的生活を送った盛期ルネサンス(15盛期~16世紀)は完全粉砕に成功。

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史②宗教戦争と大航海時代が果たした役割を補足する。

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史①「伝統主義」は本当に輝かしい勝利を飾り続けてきたのか?

          ちょっとした契機があって、はてなブログ時代に構築した歴史観がX(旧Twitter)でいい感じに要約出来たので転載。その契機となったのは以下の一連のポスト。 既にこういう意見もぶら下がってましたが…

          【第三世代フェミニストの弾薬庫】「表現規制主義者」の観点から振り返る欧州史①「伝統主義」は本当に輝かしい勝利を飾り続けてきたのか?

          【数学的溢れ話15パス目】スズメバチの数え方?

          近所の緑地でスズメバチを見掛け、その数え方について考える様になりました。 統計学上の「十分に長い単位期間」として1週間を設定。その間に平均1匹観測されるかどうかくらいだったら「近くにスズメバチの巣はない。たまたま見かけただけ」と考える。 平均2匹以上観測される様だったら「やれやれ、どうやら近くにスズメバチの巣がある様だ」、5匹~10匹観測される様だったら「高確率で緑地内にスズメバチの巣がある。駆除の必要があるかもしれない」と考える。 念頭に置いたのは指数分布とポアソン分

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          【本文無料】Sustainability拾遺集(02)ノーベル物理学賞・化学賞の衝撃

          「集計範囲を拡大する方向のベイズ更新」すなわち過去投稿への追補。今回取り組むのはこちら。 2024年ノーベル物理学賞について分かりやすく解説!『人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明』 2024年ノーベル化学賞について分かりやすく解説!『計算によるタンパク質設計』と『タンパク質の構造予測』 これはもはやパラダイム・シフト!!  今回はまずこのうちノーベル物理学賞の範囲について既存投稿との内容擦り合わせを行っていきたいと思います。 本文(2

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          【本文無料】Sustainability拾遺集(02)ノーベル物理学賞・化学賞の衝撃

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          【挑戦してよかった事】とあるハードボイルド文学論争に決着をつけた「オイラーの公式の近似性」と「ベイズ更新のメモリレス性」。

          以下の投稿で久し振りにダシール・ハメット((Samuel Dashiell Hammett 、1894年~1961年)の名前に言及した折に思い出したのが、かつてネット上で発生した、とある「ハードボイルド文学論争」の顛末。 まずは私のハードボイルド・ファンボーイ(オタク)としての立ち位置について言及しておきましょう。一言でいうとレイモンド・チャンドラーの未完作「プードル・スプリング物語(Poodle Springs)」を補完書して1989年に完成させたロバート・B・パーカー(

          【挑戦してよかった事】とあるハードボイルド文学論争に決着をつけた「オイラーの公式の近似性」と「ベイズ更新のメモリレス性」。

          【人工知能技術の現在・過去・未来】その黎明期、コンサルティング業界はナチスと弾劾されながらナチズム打倒を目指した?

          赤塚不二夫のギャグ漫画「おそ松くん(1962年~1969年)」が元アイディアをアメリカ映画「一ダースなら安くなる(Cheaper by the Dozen,1950年)」において画面じゅうをを所狭しと走り回る子供達から得たのは有名な話ですが、その原作小説「一ダースなら安くなる あるマネジメントパイオニアの生涯(Cheaper by the Dozen、1948年)」にはちょっとした天然ホラー要素が仕掛けられています。実はそこに登場する12人の子供達、全員が無事育った訳ではなく

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          【就活生向け業界分析】【本文無料】「コンサルティングなるお仕事」についての話。

          思えば過去投稿の至る所でデロイトトーマツを持ち上げまくってきました。 ところが最近日経ダイアモンド・オンライン誌上で叩かれまくっています。これはどういう事でしょう? どうやら実際にそこで語られているのは日経ダイアモンド・オンライン誌なりの「総合コンサルタントの理想像」論である様です。 とはいえ私自身も含め一般人はそもそもコンサルティングがどんな仕事か知りません。総合コンサルタントと戦略コンサルタントの違いもわかりません。採用バブルと言われても、就職活動で真っ先に着手すべき

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          【人工知能技術の現在・過去・未来】容赦なき「Tomorrow never knows」世界の片隅で?

          ちょっと間が空いたので仕切り直し。 数秘術師や魔術師の時代(イタリア・ルネサンス期~近世) 大数学者や大物理学者の時代(大航海時代~1848年革命の頃) 統計学者と母集団推定の時代(産業革命時代~現代) 機械学習と分布意味論の時代(第二次世界大戦期~現在) このうち「大数学者や大物理学者の時代」の終焉から「機械学習と分布意味論の時代」に掛けての推移を扱ったのが以下の投稿。 ここまでは何とか順調に辿り着けましたが、未来予測には「読みを外す」リスクがつきもの。例えばこ

          【人工知能技術の現在・過去・未来】容赦なき「Tomorrow never knows」世界の片隅で?