小説 開運三浪生活 62/88「曇り空と数学」
広大総科の後期の試験はあっという間に終わった。手応えと言えるものはほぼないに等しかった。数学は前期よりも難しかったし、英語に至っては長文を読んでいるだけで気持ちが折れそうになった。あまりにも戦う準備ができていなかった。
三月二十日、文生は広大の西条キャンパスに向かった。わざわざ合格発表をその眼で見るためだった。もし合格していたら、速やかに入学後の住居を契約しなければと思ったからである。散々の出来だったのにもかかわらず、楽天的なこの男はまだ合格に一縷の望みをかけていたのである