【詩】がらんどうリビング

私は外庭にある石の部分に倒れた鉢植えの存在を認めているのですが、どうしても視点と目玉がリセットされ見つめることができません。

そうしている内にリビングから『ドタッ』と音がしたので見に行くと、生き物がいたのですが、私は反射的に叩いていました。

本来、そんなことすべきでないのに……

再び外庭に引き戻され、視点と体制を規定され、這いつくばっていました。
掛け布団が目の前に落ちていて、ぽつぽつと降り始めた雨に浸され、だんだんじっとり、重く


くなって いくのです

でもまだ
ぜんぜん

降り始めだもん
だからぜったい

持ち上がるハズなのに
指が ちからが

私はネットに公開したマンガを思い浮かべていました代替行為として しかし 思い浮かべる度に 絵が

だんだん
くずれて みっともなく 拙い

あんなに輝いていたのに

薄暗いリビング
よく響く音 音楽
ほしかったもの なくなった

ガラガラの空間に 音が

生き物もいなくて ひとりぼっちで

でもそれ自体が一瞬だけでも気楽
に思えてしまう自分がイヤでただ
呆然とリビングで時間が過ぎるの
を雨の外庭の布団はとっくに取り
返しがつかないほどに濡れて湿っ
てもはや
   私は

ひとしずく
頭のうえに
ぴちょりと雨漏り
鉢植えから 虫がたくさん這い出して

境界がぜぇんぶ曖昧
わたしの家に

ただ踊る
乱反射するフローリングに
沈む夕日と たしかなわたし

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