タイトル7

【22時21分】

ねぇみんな いいえ 他の人
どうなんだい その気分気持ち胸の重さ
知りたい 知りたい 比べたい

あ 交換はしないよ
こんな胸だって大事だもの 私だけの

まだまだ寝たりない
寝たら明日はきっと雨
車のタイヤが飛沫を跳ねる音
憂鬱なんだ

実験を開始します
内容は『容赦なく浸れば涙が流れるかもしれない』

私は普段意識にブレーキをしています
人に公開するから当然ですが
プラス方向ならそのまま差し出しますが
マイナスのモノは遠慮をしてます

実験を開始します


【――――】

クズだ私は
じっと座って動かないクズ
取り繕われた甘美なバカンスに浸り
甘い汁をずっと
……ずっとこのまま?

そうしている間にも重い錆びた【 鎖 】が
侵食と 冷たさを 肌に
泣けないのは当然だ
お前はあまりに人間性を捨てた

【 鎖 】とはお前自身だ

詫びろ こんな人間でごめんなさいと
何にも責任を負いたくない逃げ口上
いつでもその戒めを解く準備をして
囚われたフリをして

焦点を固定したまま
想像という別なる世界に逃避し
何もかもが遠ざかる

『前を向けだ?』 都合の悪い事は視界から外して
納得できるモノだけで自分を構築して
塗り固めて 篭って
そんな【内側】にこそ 素敵な世界があるって

霞んだ眼で盲信するのですね

全てが反転した世界で歩を進めれば
一体どこにたどり着く?

私は過去になんて行けない
筒状の空間の中で
かつて現在だった『今』に戻るだけ

あなたがその【手】を失うほどの覚悟で
筒を叩けば でも知ってるよ
そんな勇気ないって

【川】には行けない
遮断されたこの空間から
うっすらと眺めるだけ

代替手段として
すっかり広がりきった【海】を眺めて
その源流も知らずに
うっとりと海面の輝きを いつまでも
無数の後ろ指に 気がついているのにね

反転 歩行

この世界の人は
何を喋っているのだろう

あの世界は 楽しいのかな

私は 何度も何度も抉った砂場で
今日も遊ぶんだ

雨が降ったら帰ろうとしてるんだけど
なかなか降らないね

もし降ったら
誰かが傘をさしてきて
『一緒にかえろ』って
言ってくれないかな

ザク...ザク...ザク...
今日はナニを作ろうかな

みんなが住めるお城かな
おおきなプールもほしいよね
トンネル できたよ
ほら りっぱな囲いも

……

…………

遅くなっちゃった
帰らなきゃ
さんすうと、こくごと、それから――

🌧

そうだね 雨だ
クルマのタイヤが みずをはねる
溝の中 どんどん流れる

あの糸ミミズはどうなったんだろう
濡れて轢かれた軍手
積まれた腐ったミカン
農薬と雨のにおい
灰色の海

ねぇ

カンタンなんだよ?

『てつぼう 一緒にやろう』って
自然に さらっと 言うだけ

言うだけ 言うだけ 言うだけ

あなたが与えるの
『どっちが先に逆上がりできるか』とか

……

放課後のチャイムと膜
その内側から あなたは

ふふ

いつもの砂場に
また行くんだね




【実験終了 23時03分】

一滴の涙も流れませんでした
お腹が痛いですね

お風呂もまだなので
入って横になります

今も横になってますけど
起きなきゃですね



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