Xylocopaの翅越しにも世界はあおく

掌にすっかり載るほどの
小さな世界を凝視ていた
鮮やかな色味が構築しては
それぞれに離れて
また構築されてゆくさま

心の中の宇宙分のいちの揺らぎに
fは微笑むやうにして踊っているよ
緑酒に泳ぐ微生のゐのちの
ことばを ことばを嗅ぎ分けて

生活を暮らしとして見立てて
収縮しかけた想像力イマヂネエション
ミネラルをたっぷりと注いだのは
あなたなのです 他ならぬ あなた

直線すぎるのはきらい
動植物の呼吸にあわせて
ひさぐ文字列の煌めき
睡る睫毛に似てゆるやかに
その傾斜をふるわせる

蕺菜の花は沈黙を闇夜の類似項として
その薬効を身に潜ませて道端に咲く
薔薇の咲き誇る五月の朝には
女王の匂いに誘われたXylocopaも
うっとりとその翅を凍らせる

ふかふかとねむる詩人を
疲れて弱まった詩人の夢を
誰にも見られないようにして
身嗜みを整えるまでは
二階の窓を訪ねる鳥たちとあなたにだけ
綻んだ わたしのこの胸を


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