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幾つかの会話と読んだ本に関する話

自分でさえ自分が中々わからないのに
他人になど余計わかるわけのないと
微笑をもって 涙の代わりに

春風がぬぐってくれる
あれもこれも
言葉少なに生きるかわりに
書く言葉の 多いこと多いこと

最小単位で ひっそり生きてね
リアス式も公文式もあるもんか
軋んだ内閣 わろうて つぶせ

涼しげな闇に 雨の音のする
ぬれたゆび ズボンの端でこする
傘の柄ごと いずれ空の藻屑
匂い 夜半のスーパーマーケット特有

寝静まったまちは影絵のくに
ひとのいないみち 立ち尽くすふき
かみのけのからんだ かなしいくし
文脈の隙間 息継ぎに 月

生きるは いつも 喜ばしく さみしい
花火を終えて ひろびろとした桟敷さじき
祭りの後の くすぶる焚き火
老人の夢に 若かりし在りし日

とっぷりと昏いへやで
一合ばかりのさけをのみ
読んだ本のこともいずれ忘れ
宇宙の中でわれわれ みな単時点的パンクチュアル
且つ連続している
決して時間に几帳面というわけでも
繋がっているというわけでもないのだが

幾つかの会話 幾つかの会話 幾つかの
また思い出しては 何れ忘れる
とおくてちかいところにある
もしくはちかくてとおい


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