見出し画像

ぐつぐつ

赤く燃える火よりも
青白い火の方が温度が高いんだそうだ
静けさほどなぜだかうるさくて
この部屋はうるさいほどに静かだ

叫んでみても変わらなかったら
今度は小声で話してみて
それでもまだ変わらなかったら
話すのをやめる?やめない

インクはまだ切れてないし
生命いのちだってまだ終わってないのです

生活
続いていく生活がめくる朝や夜の壁紙のすきまで
息をしながら書き物をしてる

言葉は
穴の空いたペットボトルを持つ
傷ついたあの男の影にびしゃびしゃと落ちる
水のあとのように世界にこびりついて
そのうちにすっかりと乾いてしまう
最初から濡れてなどいなかったかのように

人生は馬鹿げている
馬鹿げていて とても美しい

もう泣くような歳でもないので
ウヰスキーをロツクで一杯だけ
もう叫ぶような歳でもないので
鍵盤の音をいくつかほろほろ

いつも笑っているのに
なぜか泣きたい夜にはわたしたち
きつと誰かの為に泣くのでしょう
泣きたいのに泣けない どこかの誰かの為に

透明で ポストにいれっぱなしの
落日に似た ぐつぐつ 
朝日の裏に そつと透かした星空に
ゆつくり とかして
とかして きえた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?