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ドイツに社畜はいるのか?

日々の暮らしのお作法が日本と異なるドイツに来てビックリ仰天の連続であったわけであるが、仕事と生活をはっきり区別しているんだなぁ・・・と感じたことが強く印象に残る。彼ら・彼女らにとって、職場というのは雇用主との契約の下で労働を提供し、その対価を得る場であり、それ以上でもそれ以下でもない、そんな感じであった。

もちろんドイツは日本の職人文化に通ずるクラフツマンシップの国であり、古くから製造業が栄えているお国柄であるわけで、現代も職場は個人の自己実現の場でもあるわけであるが、日本人に比べてプライベートと仕事をはっきり分けて捉えていると感じた。

車通勤の人が多かったというのもあるが、私の職場では仕事の後の一杯、いわゆる職場の仲間との夜のお付き合いなるものはほとんど存在しなかった。どんなに忙しいときでも定時になればベルサッサ(死語)で仕事を切り上げ、それぞれの家族やパートナーの待つ家路につくのである。結果として、誰もいなくなった職場で社畜マロンだけ夜遅くまで残業三昧という、日本文化の伝承に精魂込めていた日々が走馬灯のように思い出される。

尚、ドイツでは単身職場に残ることは規則違反であり、これは残った人に何かあった場合、翌朝になるまで誰も気が付かないためである、と職場の同僚から注意を受けたことがあった。実に合理的・まっとうな規則ですね。

一度職場のドイツ人に、仕事の後で飲まないのか?と聞いてみたところ、なんと普段から一杯やっているとのことで、実は私以外のメンバーは毎晩のように飲んでいるのか?なんて一瞬疑心暗鬼になったのであるが、実際は帰宅した後に自宅で食事を済ませてから、家族やご近所の仲間、昔からの友人たちと一杯ひっかけにビアホールに繰り出す、というのである。

彼ら・彼女らにとって、友人とは古くからの幼馴染たちであり、決して職場の同僚ではない、ということが漸く理解できた。これは長年社畜人生を送ってきた私にとって目から鱗であったが、よくよく考えてみれば、日本でも社畜以外の職業をもっておられる方々にとっては案外当たり前のことなのかもしれませんな。ちなみに、会社が費用負担するパーチーなどにはよほどのことがない限りちゃっかり家族連れで参加し、たらふく飲み食い倒した挙句、ビンゴゲームでプレゼントもゲットしてご帰宅する、という点も憎めないところである。実に合理的ですね。

海外に住んでみないとわからないことは多いです。

つづく・・・




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