中国の #日本語教育 現場でよく使われる日本語教科書【定番3書の比較】 『みんなの日本語』、『新編日語』、『標準日本語』 #日本語教師
中国における日本語学習者は500万人※ともいわれ、その数はダントツで世界一です。今日は中国の高校、大学、また民間の日本語学習サービスなどでよく使われている定番の日本語の教科書3書(『みんなの日本語』、『新編日語』、『標準日本語』)のそれぞれの特徴をまとめてみました。
※この数字は中国のオンライン日本語大手、早道日語総経理の試算です。一般的に参照される国際交流基金の統計ですと約100万人ですが高校大学などの教育機関以外でカジュアルに学んでいる人も入れたらそうなるのでしょう。本当に軽くの人もいれたらもっともっと多いと思われます。
1.『みんなの日本語』(大家的日语)
①日本人の論理や習慣に合っている
②日常の生活場面が想定されており自然な会話の日本語が学べる
③解説はポイントのみで実践練習を重視しているのでとっつきやすい
④JLPT対策にもなるが、会話力を高める方が重視されている
⑤基本的に日本人ネイティブの先生がいる環境で使われる
全世界の日本語教育で定番の『みんなの日本語』です。日本でこれから仕事や生活をしなければいけない外国人向け(様々な母国語の学生)に、日本人ネイティブ先生が直接法でに教えるために作られたものなのでその特徴が出ています。会話を重んじること、日本人ネイティブ先生が主に使う、というのがポイントです。
中国語版は一般的に日本で売られているものとほぼ同じですが、学生が独学もできるように文法(文型)の中国語解説が各課についています。中国の民間で日本人ネイティブがいる学校でよく使われている印象です。
学習範囲として、初級の上下巻、中級の上下巻までしか出ておらず中級がJLPTのN2程度までのカバーですのでさらに上を目指す場合は別の教材を使う必要が出てきます。
2.『標準日本語』(标准日本语)
①中国国内の自習者によく使われており実用的な解説が豊富
②基礎知識と実際の運用能力を重視している
③各教材とJLPTが連動している(ほとんどの語彙と試験のポイントがカバーされている)
④JLPT対策と会話力向上を同時に実現
⑤大学の第二外国語としての日本語の授業でよく使われる
中国人が日本語を“使える”ようになるために作られている教科書なので実用性が高いです。説明は中国人向けに特化しているので分かりやすく整理されています。この教科書をベースにした中国人先生によるオンライン授業なども沢山出ています。自習教材の定番です。
学習範囲としては、初級の上がN5、下がN4、中級の上がN3、下がN2、高級がN1となっており初心者から上級者まで一貫して学べます。
3.『新編日語』(新编日语)
①中国国内の高校や大学の日本語専攻の場面で使われる定番
②文法や発音について細かい説明が多い
③国文法(日本語教育用の文法ではない)なので実用性というより日本語の言語の研究をしたい人に向いている
④本格的に日本語を学びたい人に向いている
日本語専攻の学生に使われる定番書だけに説明がとても豊富です。国文法ベースなので実用的な日本語を身につけたい場合、そこまで深く学ぶ必要はないかもと思いますが、日本語の古典や文学研究などの道を目指している学生には適しています。初心者からN1レベルまで広くカバーされています。
どれがいいのか?3つの選定基準
以上、中国の日本語教育現場でよく『みんなの日本語』、『新編日語』、『標準日本語』)のそれぞれの特徴を紹介しました。どれも特徴があるので、状況に応じて最適なものを選びましょう。
ポイントとしては、
①学習形式は?独学なのか、先生がいるのか?いるなら先生は中国人か日本人か、両方いるのか
③学習目的は?実用的な日本語?文学や古典の研究も視野に入っているのか?
④JLPTに合格する必要はあるのか?
といったところかと思われます。
教え手、学習者にかかわらず状況に最適なものを選びましょう。
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