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丘の上に広がる殉教の地

歩き旅に路面電車を織り交ぜ、車窓からの風景を眺め
長崎方面へと少し戻る。電車を降りればまた歩きの旅。
自転車の旅とは違う路面電車と歩きのゆっくりとした
旅。長崎は坂の多い街。そして坂の先の丘へと向かう。

歩き疲れたら路面電車に揺られて
そしてまた歩く。階段を上り
丘の上の殉教の地へと向かう
ここは日本二十六聖人の殉教の地
それは安土桃山時代末期の1597年のこと
聖フィリッポ教会は二十六聖人を記念して
設計は今井兼次。DOCOMOMOにも選定されている

73番目の案件に。現在は280件まで選定されている

坂の向こうの日本二十六聖人記念館も今井兼次の設計
坂を上ってまずは教会へ
有機的な塔を見上げつつアプローチを進む
光の帯のようにデザインされたドアハンドル
礼拝堂へと階段を上る
デザインされたステンドグラスの窓
向かいの日本二十六聖人記念館も今井兼次の設計によるもの
壁面のモザイクを見上げ、またドアハンドルに目を止める
見下ろしても圧倒的な創作の形
手すりのデザインにもこだわりが
小さな建物に詰め込まれた圧倒的な熱量を感じつつ
影。それは形をより際立たせる
そして丘の上に広がる殉教地へ
二十六聖人殉教者像。船越保武の魂が込められた作品だ

キリシタンでもある船越氏。その思いは計り知れない

そして記念館と教会と。一人の建築家による圧倒的な空間
2022年に修復された西側の信徳の壁。複雑でとても鮮やか
木製の扉にきっといろんな意味が込められて
二十六聖人記念館の背面の今井兼次によるレリーフ画には
二十六聖人の苦難の旅と英雄的心、そして26個のぶどうの実
記念碑と記念館をつなぐ殉教の橋。上面にはタイルの装飾が
槍をイメージされてデザインされたコンクリートのルーバー
幸運のしるしである四つ葉のクローバーのドアを開けて中へ
4年半をかけて制作された二十六聖人記念碑

北九州の旅で見つけた船越保武の作品

この地に残る二十六の祈り
開放的な記念館の内部空間。魅力のある建築的な構成
26人の旅の記録。どんな思いの旅であっただろうか
ステンドガラスからの光が内部に穏やかに広がる
2階の今井兼次に手掛けられた栄光の間は
やわらかな光で満たされる
格子とその向こうの風景の中に
日本人小市ディエゴと朝鮮人カイヨを顕彰する「殉教顕彰碑」
美しい窓。コンクリートによる繊細な造形や
さまざまな祈りの形にふれることができた
もう一度、壁画を見上て記念館を後にしよう

二十六聖人への祈りは、後世へとつながっていく

二十六聖人は京都の地から1カ月をかけて長崎までの
約1000kmを歩き、そしてこの丘の上で処刑された。
豊臣秀吉によって発布されたバテレン追放令の後も、
南蛮貿易は認められており、まだ禁教は形式的な時代。

その中で起こった殉教の発端のなる出来事。そして
禁教の歴史へとつながっていく。島原、平戸と旅を続け
キリシタンの歴史に触れた。そして長崎にある殉教の
地、祈りの風景。その歴史を知り過去の出来事を思い、
そしてその祈りが未来につながっていくことを願う。

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