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JBUGを再起動!コミュニティの原点回帰と新たなゴール

どうも。ヌーラボの原田(@yasuhirox)です。2023年8月からマーケティング部を率いています。

このnoteは、コミュニティマーケティング Advent Calendar 2023の12月23日の記事です。

2023年はヌーラボにとってコミュニティマーケティングを再起動させた1年で、ヌーラボブログリレー2023 for Biz Advent Calendar 2023では、その理由を書かせていただきました。

今回はその再起動させたお話しの中から、Backlogのユーザーコミュニティ「Japan Backlog User Group(以下、JBUG)」の目的やターゲットを再定義した話にフォーカスして書かせていただきます。

共通の目的へ向けた新しい道

『余計な…物など無いよね~♪…』という歌があります。

少し古すぎる歌ではありますが、コミュニティにおいても本質的な要素だけが必要で、余計な物は何もない方がよいのかもしれません。その理由としては、余計な規則や複雑な構造を排し、メンバー同士の繋がりと目的の明確さに焦点を当てることで、有意義なコミュニティを築くことができるからです。

コミュニティは共通の目的や関心を持つ個人の集まりであって、メンバー同士の対話と相互作用によって価値が創られます。明確な共通の目的があれば、それに向かうメンバー間の協力と共感が自然と生まれます。

しかし、この「共通の目的」がJBUGには欠けていました。

本来であればベンダー側が目的を掲げて、コミュニティマネージャーを通して、コミュニティリーダーへと伝えて、共感を呼びこしていかなければいけません。これができていませんでした。

共通のゴールをセットして、そこに向けた進みやすい環境を整える©小島

この資料にある青い旗(共通のゴール)がない状況です。※小島さん(@hide69oz)の資料をお借りしています。

旗がなければ、旗を立てる!

それは僕たちベンダー側の役割でもあります。しかし、単に目標を設定するだけではなく、コミュニティリーダーの方々と肩を並べて歩いていけるように、未来に向かって「再起動するための旗」を立てようと決意しました。

コミュニティの原点への回帰

JBUGが立ち上がった当初はBacklogに焦点があてられていました。そして、この過程を振り返るとき、僕たちはコミュニティリーダー陣に深い感謝の意を表さずにはいられません。

リーダー陣の尽力により、JBUGはその成長と進化を遂げてきました。リーダー陣は常にコミュニティの核となって、その発展を支えてきたのです。そこには感謝の意しかありません。

そんなJBUGの歴史的背景を知るべく、僕は2017年に開催されたJBUG第0回のレポートから読み返していきました。JBUG初期は参加者全員がBacklogについて語っていたように見受けられます。

さらに、ユーザーから「こういう機能が欲しい」など意見も上がり、開発者もJBUGに参加してお客様の声を聞いて、フィードバックされる場となっていました。

Backlog の開発者に直接要望を言えるということもあってか、「カンバンが欲しい」「多人数で同時に Wiki を編集したい」といった率直な要望も多く聞くことができました。

第0回 #JBUG ( Japan Backlog User Group ) @北九州に参加してきました!

「カンバン」「共同編集できるWiki」など、今となってはメインの機能が当時はなく、JBUGでのフィードバックが機能開発の起点になっていることが分かります。

まさに、コミュニティの理想とする「良いフィードバックループ」ができている状態でした。

そこから、JBUGへの参加者を増やすために「プロジェクトマネジメント」に重点を置くようになり、非ユーザーが登壇するような状況が生まれていったようです。

この状態を作ったのは目的を掲げていないベンダー側の責任です。企画を考えたり、スピーカーを発掘することは苦労がかかることなので、丁寧にサポートをしていく必要がありました。

スピーカーの選定基準が決まらない状態が続き、Backlogに関心が薄い登壇者も増えていき、「コミュニティを開催することが目的」になっていったと考えられます。

このコミュニティはJBUGなのか?という疑問が起こり、この状況から原点に立ち返るべく、話し合いの場を設けることにしました。

そして、その前に代表の橋本や他メンバーとCMC Meetupに参加し、コミュニティに関する共通のコンテンツを見た上で意見交換を行いました。

CMC Meetupからの気づき

CMC Meetupでの体験から、コミュニティの目的を明確にするために、社内で積極的に議論しました。

コミュニティに関わるメンバーが同じ経験をしたことで、コミュニティ内でのコンテキストを共有し、言葉の定義を統一することが可能になりました。この共通体験は、目的を決めていく対話の中で、共通の理解を深めるという点で非常に有効だったと思います。

このプロセスは、意見の相違があっても基本的な理解が共有されているため、より建設的な議論を促進しました。

結果として、チーム内のコミュニケーションは、より円滑で効果的なものとなり、コミュニティの全体的な目標達成に向けた一体感が強化されました。

CMC Meetupからの学びとしては、JBUGには全体像を捉える「鳥の目」の視点が不足していること、各地域のコミュニティが居心地の良さを重視しているものの、地域間の連携や全体としての一貫性がないなど、様々な意見が飛び交います。

コミュニティが事業貢献し、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、経営者の視点が欠かせません。しかし、現在のJBUGの設計に明確な目的がありませんでした。

目的とターゲットの明確化、そしてそれらに対する戦略的なアプローチを考えて、コミュニティの真の価値を引き出し、そのための一番の近道を見つけなければいけないことに気づきました。

コミュニティの成長と目標達成への道

議論の出発点として、まずはJBUGのゴールが何であるかを話し合いました。

この段階では、具体的な目標を設定するよりも、まずは理想的な状態がどうあるべきかに焦点を当てました。

JBUGはJapan Backlog User Groupという名前だけに「Backlog」に焦点があてられたコミュニティです。そのため、理想の状態というのはコミュニティを軸として、Backlogに関するフィードバックループが形成されることです。

プロダクトは常にアップデートされなければいけません。

これは、既存のお客さまに継続してサービスを利用してもらうため、また、新しく使っていただくお客様を増やすためにも「プロダクトのアップデート」は不可欠な要素です。

Backlogが提供する価値を高めるためには、ユーザーからのフィードバックが重要ということが話されました。

その結果、JBUGのゴールは「Backlogの第一想起を獲得すること」に決定しました。

第一想起を獲得するということは、特定のカテゴリーやサービスについて考えた際に、最初に思い浮かべるブランドやプロダクトを指します。この概念は、「トップ・オブ・マインド」(心の中の最上位)とも呼ばれます。

〇〇といえばBacklogという状態を獲得する

コミュニティ活動を通じて、参加者にBacklogを深く理解してもらい、プロジェクト管理やタスク管理に対する課題の解決策としての「Backlog」の位置付けを目指していくということです。

さらにはBacklogの使用における専門性が認識され、結果としてコミュニティリーダーの方々やJBUG参加者のキャリアアップにつながっていくような状態を作っていく必要があるとメンバーで話し合いました。

Objectiveとコミュニティの再活性化

ゴールが決まったので、続いてそのゴールを目指すための定性的および定量的な目的について話し合いました。

コミュニティのOWWHフレームワーク©小島

小島さんのフレームワークを用い、3年後の理想的な状態を達成するために、1年後にどのような状況であるべきかを逆算し、それに基づいて目標を設定していきます。※小島さん(@hide69oz)の資料をお借りしています。

この目標設定は、ビジネス全体の目標と密接に関連しており、コミュニティの目標は、定性的、定量的なものであり、その達成がビジネス全体の目標達成に寄与するよう設計していきました。

まずはJBUGは「製品に関連する話題が100%」という状況を基本としつつ、さらに活動の裾野を広げることを目指していく話がされました。

この拡張の一環として、「JBUGの株分け」というアイデアが浮上しています。これは、特定のニーズやスキルレベルに合わせた多様なサブコミュニティを形成することです。

たとえば、APIを使うエンジニアや、インテグレーションを開発した人など、テック系のBacklogユーザーが集まる場などです。さらに、プロジェクトマネジメントに特化したJBUGの設立という企画も上がりました。

(この話は9月にされたので…)Backlog Worldが12月に開催されるということで、そこで熱量がどの程度まで上げられるのか?熱量を測るためのツール導入などの話もありました。

ただし、ツール導入によって、熱量があげられるわけではありません。状態が分かるだけであって、熱量を上げるために何をしていくべきなのか議論は飛びかいました。

さらに、現在直面している課題を解決するための具体的なアクションプランを基に形成されていきます。このアプローチにより、短期的な目標の設定だけでなく、長期的なビジョンを実現するための重要なステップを踏み出すことができました。

3時間以上かけて、リアルな場でコミュニケーションを取ることで、OWWHフレームワークを無事に埋めることができました。

ホワイトボード10枚くらい必要なほど書いては消しを繰り返した

まとめ

JBUGのゴールは「Backlogの第一想起を獲得すること」と決め、そのゴールを目指すための近道として「3年後のあるべき姿」、「1年後のあるべき姿」を言語化しました。

頂上を目指すためにまずはどこまで登るのか?

頂上を目指すために、どこまで登る必要があるのかを決めなければいけません。これを共通言語としてJBUGに関わるすべての人に共有をして、同じ認識のもとゴールに向かって一緒に歩いていこうと思います。

そのためには、JBUGで得た知見、Backlogでの知見が広く共有され、コミュニティリーダー陣やJBUGでの登壇者が社内外で認められる環境も作っていかなければいけません。

そして、明確なゴールを設定したことで、その達成に向けてリーダー陣が献身的に努力することがしっかりと報われる環境を作り上げるということも決意しました。

今回、コミュニティの原点へと立ち返って、新たな議論の場を設けるにあたり、これまでのリーダー陣の努力に心からの敬意を表します。

リーダー陣の努力というのは、JBUGの歴史の中で不可欠なものであり、更にこれからの変革に向けての強固な基盤を築いてくれました。

彼ら彼女らの情熱、熱量というのは、これから新しい目標に向かって進む上での大きな励みとなります。今回、新たな目標を掲げたことでReBootし、僕たちがリーダー陣をしっかりとサポートしながら、JBUGの更なる発展に向けて共に歩んでいきます!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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