序章)日本社会と英語人社会との違い

序章
自分が日本で見習いをやっていた時は、寮生活をしていたので、限りなく練習する環境にあった。

朝9時―夜9時まで営業だったので、朝8時半までにはサロンに出勤をし、冬場は駐車場の雪かきがあるので7時半にはサロンに入り準備をする。

夜9時ギリギリにお客さんが入ってくるので、休む暇などなく夜まで仕事、ランチタイムなどは5分あればラッキー。

夜8時55分にパーマ受け付けなんていう日もあり、そうなると夜の11時半過ぎてもお客さんがサロン内にいる。

原則、サロンの中にお客さんがいる時は、掃除や洗濯機は回せない。機械音を立てるのは失礼だからである。ただただお客さんが終わって帰られるのを待ち、やっと掃除と洗濯を開始できる。

それから練習を行い、終わったら、もちろん深夜の1時や2時だった。

休日の前の日は、朝まで練習ができるので、朝刊が来るまで練習をし、新聞を読みながら朝ごはんを食べ、それから寮に帰って寝る。

そして夕方に起きてサロンに戻り、また練習してから翌日のサロンの用意をして一週間の始まりを待つ。

一週間の練習時間は20時間を越えていた。休み無しの365日の練習だった。

オージーのサロンを見てみると。。。営業時間が朝9時からだとスタッフは朝9時丁度にサロンに入る。見習いの子でも、10分前に来れば良いほうだ。朝一番のお客さんがサロンのドアの前で待っている事も珍しくない。

夕方5時には閉店なのだが、閉店と言う意味は5時に鍵を閉めて帰るという意味だから驚いた。

練習会などは、週一で行なっているサロンはあるけれど、街でもトップサロンだ。

誰もが簡単には働けないしオーディションを受けてからじゃないと雇ってもらえない。

そんな高級サロンでも練習会となれば週に2時間程度のものだろう。美容師見習いでも「仕事」と割り切っているのでサロンは技術を学ぶ場所ではない、給料をもらう場所なのである。

中にはモチベーションが高くて、練習するスタッフもいるが営業時間中だ。

日本の美容師さんは休日でも講習会、講演会、教室、コンクールなど、休日は全て返上して技術向上のために走り回っているが、こっちでは、そんなことする人は1%もいるのだろうか?

休日は自分のために使うものなので、仕事はあくまでも週に38時間だけ。日本の美容師事情を話ししたら誰もが「クレイジー」という(笑)

日本人が海外の美容師学校へ行き、現地のサロンで働いて技術を取得しようとする人も多いが、日本人の髪に適したカット理論は習わないし、練習や勉強する環境がは整っていない。

将来、日本人を相手に仕事をするのであれば(場所は海外でもどこでもいい)日本国内でしっかりとした技術を学んでおかないと、海外には日本の技術を学べる場所がない。

中にはバイリンガルで海外で育った方で、日本人をターゲットとしないでも白人相手に仕事をすると決めた人は、海外の数少ない有名店で働くのを目指し、日本の理論を学ばずに西洋の理論を取得して勝負するのもよいが、やはり英語力がカギとなるであろう。

ここに「30歳から失敗しない海外挑戦」と題し、自己の31才からの海外経験談を順を追って回想しておこう。

この中で僕が得た失敗や教訓を見出していただければ、皆さんが海外に出てからでも事前に失敗を感知し回避できるかもしれない。

きっと、海外だから全てが良いわけでもなく…

日本だから「ダメ」ではないと言うのも分かって頂けるかと思います。

以下、登場人物の名前は全て仮名である。。。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?