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日本に眠る観光資源〜アドベンチャーツーリズムについて〜

こんにちは!安永翔太です。いきなりですが、アドベンチャーツーリズムってご存じですか?

今週の月曜日に開催された観光庁の「アドベンチャーツーリズム事業成果報告会」(動画はこちら)を視聴したのですが、いちアウトドア好きとしてとてもワクワクする内容だったので、ぜひご紹介できればと思っています。

(先週の記事では、ULについてもう少し書きますとお伝えしていましたが、すみませんが予定変更させて頂きます。ULについてはまた改めて…!)

本記事の構成として、前半はアドベンチャーツーリズムについての概要を観光庁の事業成果報告書などを抜粋して説明、後半は僕の主観を交えてお伝えしたいと思います。

アドベンチャーツーリズムとは

アドベンチャーツーリズム(以下、AT)は「自然」「アクティビティ」「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行を指します。

AT旅行者は、旅行を通じて自分自身の変化、視野の拡大、学び等を得ることを目的としており、個々のコンテンツの質の高さは当然として、旅行者それぞれの興味・関心に応じたテーマ・ストーリー性のある滞在プランなど、その地域ならではの体験をもとめていることが特徴とされています。

ATは、自然や文化といった軸ではエコツーリズムやグリーンツーリズムと共通項を持つものですが、アクティビティを通じて地域の文化と自然を体験することで、自身の成長・変革と地域経済への貢献を実現することを目的とした新しい旅のあり方と説明されています。

出典:ATTA HP・データ、UNWTO 「Global Report on Adventure Tourism」、国土交通省「着地型旅行の市場概要」よりJTB総合研究所作成

とくに、ATの取組は自然や文化や地域を大事にしながらも、経済的な成り立ちの重要性を理解しており、地域資産を観光を通じて経済価値に結びつける取組であると言えます。

出典:一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会ホームページ


「ただの観光」だけでは物足りない旅行者

世界の旅行者の属性は様々であり、おおまかに6つに分類されます。

特に、現状の訪日外国人旅行者の多くは「サイトシーイングツーリスト」と呼ばれるタイプで、一般的な旅行者です。特に海外旅行が一般化して間もないアジア圏は、その傾向が顕著らしく、日本での旅行先は東京、京都、大阪、富士山などの有名観光地が必然的に多くなっています。

逆に、欧米、特に欧州の旅行市場の約半数は既に「エデュケ―テッド・トラベラー」と「スペシャル・インタレスト・ハンター」が占めているという調査もあります。

出典:観光庁「アドべンチャーツーリズム 本質的課題解決への事例集」

日本の観光業界は、短期間で手軽にゴールデンルートを巡る「サイトシーイング・ツーリスト」を主なターゲットとしてビジネスをしているとも言え、また、これは日本の旅行者にも同様だと言われています。

たしかに、世界的な自然観光資源であるグランドキャニオンやエアーズロックのようなスケールの大きい観光資源は日本にはありません。

では、日本の良さは何でしょうか?

日本の地方だからこその自然や文化

例えば北海道・知床。様々な自然体験ができるこの地で、実は「クマとの共存」を感じられることが体験価値として評価されています。

欧米の国立公園においてもクマやバッファローに遭遇する機会がありますが、いずれも人間の生活圏から離れた僻地での体験であり、知床の事例は稀有だとのこと。クマと人の暮らしが近いという事実に旅行者は感動し、それを目の当たりにしたときに得難い体験であると実感すると言われています。

他にも、飛騨高山で豊かな自然とそこに残る古い町並みや里山文化に触れることがかけがえのない体験となったり、山形県・羽黒山での山伏修行体験福井県・永平寺での座禅体験

今例に上げた事例は、既に欧米からの旅行者に知名度の高いコンテンツです。日本には、このような事例もあるにはあるが、観光資源となり得るその他の多くの地域が、知られることなく「眠った」ままとなっています。

もしそれらが広く知られたとき、多くの旅行者は得難い体験を求めて、日本各地を訪れたいと考えるはずです

その時に、日本の観光業界は準備ができているだろうか?コンテンツを磨けているだろうか?今後は、早急にそして確実に、受入体制づくりを進めていく必要がある。と、報告されています。

(参考資料:観光庁「アドべンチャーツーリズム 本質的課題解決への事例集」、一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会ホームページ)

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こんな背景があり、今回観光庁でのアドベンチャーツーリズム事業が行われました。日本各地から12の中小業者が採択され、それぞれが地域の課題を深掘りするところからコンテンツの作り込み、情報発信までを有識者や専門アドバイザーと共に行っています。

日本の地方それぞれが、独自の自然と文化を融合させた体験や遊び方を唯一無二の魅力とともに発信する未来

どうですか?ワクワクしませんか?

アウトドア好きかつ旅行も好き、それでいて地元でもアウトドアを楽しみたいと思ってる僕みたいな欲張りタイプからすると、もう素ん晴らしい事業なわけです(笑)。

ちょっと蛇足

ここからは僕の経験や思っていることを少しだけ。

前職時代に行っていたリバーカヤックツアーで僕自身も大好きだったプランがあります。高知県・四万十川の2DAYSカヤックダウンリバートリップ。これが単に川を下るだけでなく、夜は四万十川沿いの民宿に宿泊するプランでして。

こちらの宿、ネットで検索しても出てこないような、ほんとの地元の民家の宿なんですが、ここのご飯とおもてなしが最高なんです。四万十の川の幸を存分に味わえる、最高に美味しい料理と温かいおもてなし。

食卓を囲むのは、ガイドの僕も含めてツアーゲスト数名。川に浮かぶと人工的な物や音から遮断され、雄大に流れる四万十川を漕ぐという特別な体験をしたばかりの面々。自然と会話にも熱がこもります

ガイドの僕が言うのもなんですが、四万十カヤック〜地元の食や文化に触れる体験、これは後にも先にもなかなか体験できない、貴重なものだったと思います。

このようなアウトドアトリップでは、ATの要素がしっかり詰まっていると思う訳です(海外ゲストが高いお金を払ってくれるような高級な料理やもてなしであるかはさておき)。

そして、僕も旅行者側として、日本各地でこんな体験を是非してみたいと思いますし、各地がそれぞれの魅力をうまく発信してくれれば、日本はめちゃくちゃ魅力的なアドベンチャーツーリズムの国になると感じています。


ATのツアー紹介

最後に、今回の観光庁の「アドベンチャーツーリズム事業成果報告会」で僕が行きたくなったAT事業をご紹介したいと思います。良かった動画も見てみてください。

場所:和歌山県熊野古道周辺
事業名:To Touch the Holy Waters of Kumano ~秘境南紀 水を全身で感じる旅~
 
ホームページ:https://alphatravel.co.jp/kumano_tr/


地域:新潟県佐渡島
事業者名:長期滞在型佐渡まるごとアドベンチャーランド事業(新潟県佐渡市)
ホームページ:https://gotosado.com/

他にも魅力的な地域ばかりでした。詳しく知りたい方は冒頭の動画か、こちら「アドべンチャーツーリズム 本質的課題解決への事例集」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/content/001465250.pdf)をご覧ください。

今週はこの辺で!では良い週末を。

(表紙写真:Yuya Nojiri)

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