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アウトドアがもたらす心の豊かさ

大山隠岐国立公園について

鳥取県・島根県・岡山県の3県にまたがる国立公園で、豊かな自然が魅力的な『大山隠岐国立公園』。

大山や蒜山、三瓶山などの山岳の景色と島根半島、隠岐島などの海岸の景色の両方が楽しめるアウトドアエリアです。

(下記画像をタップすると大山隠岐国立公園の紹介動画が開きます。もしよければ、見てみてください。)

その中の代表的な山である大山(だいせん・鳥取県、標高1729m)は、西日本最大のブナの森を抱え、麓には草原が広がる豊かな自然があります。山頂付近からは眼下に日本海が一望できる独立峰です。

春のいきいきとした新緑、夏の冷たい沢、秋の紅葉、冬は厳しい雪山にもなる。それぞれの四季が、それぞれに魅力的で、色んな景色やアクティビティを楽しませてくれる山です。

僕は2011年から約3年間、この大山の麓の町、米子に住み、大山登山口に隣接するモンベルで働きながら、大山や島根半島などのフィールドで色んな遊びを経験させてもらいました。

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大山での"the time"な時間

以前のnoteで「フィールドの天気や気象条件が揃った特別な時間帯」のことを“the time”と呼び、そこに身を置き、五感で自然を満喫することの贅沢さを書かせて頂きました。


今回もそれにならって、大山での「フィールドの天気や気象条件が揃った特別な時間帯」=“the time”について考えてみたいと思います。

標高約800mにあるモンベル店舗は、大山山頂を見るには一番のビュースポットにあり、仕事の日は毎日山頂を眺めることができる環境でした。

実は、それまで登山経験も無く、山の良さがいまいちわかっていなかったのですが(笑)、そんな僕が、以下で書くような自分なりの時間の過ごし方を見つけることで、少しずつ山を好きになっていったのだと思います。

―ある天気の良い朝。早く開店準備を済ませて、誰もこない店舗裏の地べたに座り込んで、山を見ながらコーヒーを飲む。空気がひんやりしていて、朝露で湿った土の匂いがする。真っ青な空と、朝の太陽で眩しい山の姿を眺める。頭がクリアになるような素敵な時間。

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―あるお休みの日。昼まで寝過ごして気付くと、空は秋晴れ。遅起きを後悔しながら急いで着替えて登山靴を履き、午後から山に登った日の、下山する時の秋の空。夕方の心地良い風が下から吹き上げる。遥か下には自分が住む町と海が見える。身体が軽くなるような、心地良い時間。

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ここで書いた以外にも記憶に残っている素敵な瞬間はありますが、それらに共通して言えるのは、同じ山でも、その日の空の色、雲の掛かり方、陽の当たり方などの条件で、より美しく見える時があるということ。

そして、その瞬間はずっと眺めてしまう程に魅力的だということです。

この時間こそが大山が見せてくれた“the time”だったと、今は思います。


島根半島での”the time”な時間

国立公園の海エリア、島根半島。
山陰の海は、冬の荒れた波によって浸食された海岸線が、複雑な地形のリアス式海岸となって延々と続いています。

山の緑に囲まれた小さな入り江になったビーチが点在していて、砂浜は白く、春以降は穏やかなエメラルドグリーンの海に。

海水浴シーズンを除けば、人はほとんどいなくて、プライベート感満載の海遊びができるところなのです。
(下の写真は「北浦海水浴場」)

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―よくカヤックの出艇場所として使っていた「惣津」という入り江から、東にほんのちょっとだけ漕いだところにある、素敵な水路。
陸上からはアクセスできない場所にあるので、当然だれもこない。こんな地形や洞窟が、たくさんある。

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―リアス式海岸の洞窟や地形をひとしきり探検して、帰ろうと漕ぎ戻ると、夕陽がちょうど良い時間帯に。
もう少し眺めてから上がろうと、カヤックから足を投げ出して座る。海に浮かんでくつろぎながら夕陽を見る。周りには誰もいない。とても贅沢。

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書きながら考えていたのですが、波が穏やかな日でも、入り江から外海に出て、海岸線を一人でカヤックするという事は、スリルがあって緊張する。

だからこそ、自分が安心できる場所(車を置いている入り江など)に帰ってくると、緊張がほぐれてほっとする。そして余計に夕陽の美しさが染みる。

もしかしたら、安全が確保されていないアウトドアならではの緊張感も、“the time”な瞬間を、より心に刻む大事な要素なのかもしれない。
※もちろん、リスクに対してきちんとした準備を行います。

アウトドアがもたらす心の豊かさ

この国立公園内でのアウトドアで見た、素晴らしい"the time"な瞬間は、今でもその感覚がしっかり自分の中に残っています。

例えば、普段の仕事帰りの夕方に、車から見えた綺麗な空がきっかけで、当時の大山で見た夕方の空や、心地いい感覚が蘇ってきて、それだけで山に登った気分になって、心が満たされることがたまにある。

今はアウトドアとは無縁の仕事をしているので、以前のように毎日アウトドアはできないけど、普段の通勤路のいつもの空や、夕陽や心地いい風から、山や川や海へ思いを巡らせることができるなら、それもアウトドアがもたらしてくれた心の豊かさと言えるのかなと思っています。

これからは、家族や友人達とそんな景色や体験を共有したいなと思います。

今度、九州から大山に遊びに行く時は、山口〜島根〜鳥取の海岸線をキャンプしながら北上してみたいな。もちろん車にはサップ やカヤック、シュノーケルとかの遊び道具を沢山積んで。夕陽も綺麗だろうなー。

(表紙写真: Yuya Nojiri) 



こちらも、アウトドアでの素敵な時間について書いています。



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