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Spacemen 3 - Playing With Fire

1988年の時点ですでに1990年代のインディーロック的アプローチをやり尽くしたようなフィーリングをもったSpacemen 3の3rdアルバム。Spacemen 3は2人の異なる音楽性とサイケデリック感覚という共通項の重なり合いがどの作品にも詰め込まれているように感じるが、本作は両者の方向性の違いが漠然と見え隠れする微妙にもろく崩れそうなところがむしろ魅力に感じる。

Honeyは、ギターとオルガンによるドローン的な雰囲気溢れるイントロから柔らかなボーカルとリバースエフェクト、電子音のシーケンスとあらゆるサイケデリックな要素がそれぞれに音を奏でている。崩れそうで崩れないバランスや、時々わずかに変化するコード進行からわかる楽曲の構成など全てが淡く美しい。

I Believe Itは、Sonic Boomで活躍するVoxオルガンがほぼ全編を覆っている。そこに粗いギターのトレモロストロークや漂うオブリが入り、テンポの緩急があり、ヴェルヴェットアンダーグラウンド的な中毒性のある楽曲になっている。

続く、Revolutionは前の曲との対照が印象的だ。静かにエンディングを迎えるI Believe Itから切り裂くようなギターの轟音とローファイなドラムのエイトビートでガレージサイケアプローチに一気に空気を変えていく勢いはまさにSpacemen 3らしいあやうげな魅力だと思う。

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