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いちやなぎ - IRAHAI

京都を拠点に音楽にとどまらず多様な展開を続けるいちやなぎによる2024年の本作は同じく京都で活動するミュージシャンをバックに従えたバンドサウンドを軸に作られたタイニーサイケポップ作品に仕上がっている。どこかあがた森魚からの継承を感じる文学的な幻影がある。

森の怪獣は、オープニングのコーラスを伴ったサイケデリックポップな展開が素晴らしい。その後も展開は一貫してサンシャインポップ的な雰囲気を保っている。淡々としたボーカルと対照的なきらびやかなアレンジで両者のバランスがとても心地よい。続く怪獣は森へ、という短いインタールードではオープンリールやエコーデックを思わせるレトロエレクトロなエディットも登場する等、とても豊かな表現が面白い。

あなぐらは、アコースティックギターのストロークと淡い歌の組み合わせが京都シーンらしい始まり方だと思う。徐々にオーケストレーションアレンジが楽曲に侵食していくが、そのアレンジをファルセットを含めて飾る事なく、それでいて徐々に盛り上げていく歌の表現力が素晴らしい。

美女と野獣は、オリビアトレマーコントロールなど、Elephant6を思わせるバンドのサイケデリックロック感が素晴らしい。ユーモアも感じさせる飄々とした歌がサイケデリックポップの世界観に入り込んでいてやはり歌の表現力に圧倒される。

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