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木(KI) - Wa

ルイスコールのオープニングアクトが話題になったユニットだがユニット名からもタイトルからも強いメッセージ性を感じる。本作は2023年に発表されている。サイケデリックメロウなボーカルとコアなギターに環境音楽といった骨格部分の組み合わせの面白さに加えて、トラックごとに詰め込まれた情報量の多さに惹き込まれた。

Holy Mountainは、意外すぎるハードなギターリフからはじまり、リーディングに近いラップとドラムンベースの冒頭部分が素晴らしい。メロウな歌が始まるとこれらのアプローチをすべて飲み込んだ上で木(KI)らしい展開がしっかり詰め込まれており、この過剰なイントロが分解されていくようでとても心地よい。

Spillは、アンビエントスケープを打ち出した静謐でオーガニックなトラックが美しい。電子音とアコースティック、ダイレクトな音響とエディットされた質感、あらゆる要素が埋め込まれた上で和声を刻むボーカルの質感が素晴らしい。ジャジーなリズムを基調にしつつ4分弱のトラックにユニットが持ち得るあらゆる要素が埋め込まれている圧巻のアレンジだ。

Cherry Blossomは、ピアノによるシンプルな演奏とシルキーなボーカルの組み合わせからストリングスを軸に展開するオーケストレーションに向かう展開がとても学術的でスムーズだ。中盤からエレクトロニカ的なエディットを経てシンプルなメロディーとビートに包まれたパートを経て再びコーラスとオーケストレーションに戻る展開の過剰な多幸感も素晴らしい。そして意外性あふれるフェイドアウトは面白い。

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