この涙はそんな美しいものではない(皐月物語 126)
月曜日の朝、藤城皐月はいつもより遅く目を覚ました。通学服に着替えていると、洗面所からドライヤーの音が聞こえてきた。及川祐希の高校へ行く前のルーティーンだ。今週は皐月には修学旅行があり、祐希には文化祭がある。このビッグイベントを気分よく迎えたいので、昨夜のモヤモヤした気持ちを早めに解消しておこうと思い、皐月は祐希に絡みに行った。
「おはよう」
「おはよう。今朝は4人で食事みたいだよ。さっき小百合さんが台所に入って行った」
屈託のない祐希を見て、皐月は少し気が楽になった。制服