はっけよーいで始まった 僕らは土俵におろされた みんながみんな裸ん坊 ここから出てはいけないよ 手を地につけてはいけないよ どすこいどすこい どんとこい 寄り切り寄り切られ恋振られ まだまだ続く一人相撲 めそめそ泣くうち いつかは幕内 涙は得意のはたき込み どす恋どす恋 どんと恋 まんまるの上で生きている 座ることなど許されず それでも必死に立っている いつかは横綱 誰にもよこすな どす乞いどす乞い どんと乞い 必死でつけた鎧は剥がされ 僕らはいつも裸ん坊 土俵際まで
沈んでいく海の底から眺めたまんまるの月。 必死の叫びは泡となって消えた。 必死のもがきは海の藻屑と消えた。 やがて月が消えた。 視界が消えた。 人としての輝きを失い、狼へと変わった。 それが人としての最後の記憶だ。 ねずみを食べて、泥水を飲んで、がむしゃらに走った。 血反吐を吐いて、弱音を吐いて、それでも足は止めなかった。 山頂にたどり着いた時、海の底から見たときより月が大きく見えた。 神々しいほどの美しさに恐怖を感じ、思わず叫んだ。 「ワオーン」 狼の白い息が月光に
富より名声 名声より富 どちらも選べぬ欲望よ どちらも瞬く星のよう 私の心に宿る炎 あの子よりその子 その子よりあの子 飽くなき探求追い求め 私の心に眠る蕾 咲かせるがための恋心 とどまることを知らぬ欲望は 波のように打ち寄せる しぶきが涙になる前に 歯止めをかけるは防波堤 私の心のテトラポット あれもこれもが輝いて 私の心は踊りだす 全てを私の手のひらに そう願うは人の性 そう願うは人の夢 #詩 #欲望 #恋愛
もふもふ毛布に身を包み あちあちスープで舌鼓 体がぽかぽかしたならば 冬を探しに出かけよう もこもこコートに身を包み あちあちカイロで完成だ 外へ出たなら身震い これはきっと武者震い ぽつぽつ雨が降り出して ふわふわ雪へと変身だ 鼻と耳を赤く染め 冬限定の雪化粧 きりきり凍てつく厳しさに ぽっきり心が折られても まつ毛に雪が残ったなら 涙なんかはいらないね ぺたぺた足跡付けながら てくてくお家に帰ろうよ ぺたぺた足跡たどりながら はるばる春はやってくる #詩 #冬
かつて、世界は色であふれていた。青い地球のどこかで黄色い花が咲くならば、真っ赤な太陽は微笑み、七色に輝く虹が、新たなる生命の誕生を祝福した。 ある世界的なミュージシャンが言った。 「バナナは赤い」 バナナが黄色だと決めつけるのは、バナナの可能性、黄色の可能性を潰すことになる。つまらない固定概念は捨ててしまおう。それが彼の意見だった。 「リンゴは黄色い」 彼の意見に賛同した人々が、口々にそう言った。バナナは赤くて、リンゴは黄色い。それが世の中の新たな固定概念となった