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法律事務所maru、3年目を迎えて。

この4月1日、おかげ様で、法律事務所maruは3年目を迎えました。

円満解決を目指す法律事務所、合意解決の可能性を広げる場として始め、この2年間、いろいろな案件に携わってきました。

依頼者の見ている世界と相手方の見ている世界は、「まるで異なる」ということがほとんどです。

その異なる世界にいる両者が、「何らかの合意に至る」、あるいは、「すれ違っていく」ことを通じて、争いがなくなっていきますが、そのプロセスにどのように関わっていけばよいのか、どのような合意がよい合意なのか、という探求を続けています。

法律は、自分の要求を相手に飲ませる手段として使えるものであり、「強要の道具」としての使い方があります。

と同時に、法律は、個別の案件を超えた一般的な規範として、双方に適用されるものという側面があるので、この側面に着目すれば、法律は、異なる二つの世界をつなぐ「橋渡しの道具」としての使い方ができます。

法律の使い方だけでなく、相手方や相手方代理人との接し方についても、敵対的な態度を取るのか、双方を包み込む態度を取るのかで、事件の流れは変わってきます。

プロセスのあり方は結果の内容に深く関連するというのが実感です。

新しい1年でも、円満解決に向かう技法の実践と探求を深めて参りたいと思います。

もう一つ、法律事務所maruは、依頼者にとっての癒し・回復の場でもありたいという思いがありました。

弁護士が受ける事件はいつか終わりますが、私個人の感覚では3~4カ月で終われば早い方で、1年以上かかることも少なくありません。
この決して短くはない時間を、依頼者自身がどのように迎え過ごすのかは、とても大事なことではないかと思っています。

法律と弁護士には、「戦い」のイメージがあります。

なので、法律事務所の作り方として、「強さ」や「権威」を演出することはしばしば行われています。

私は自分の事務所では「やわらぎ」を表現したいと思いました。

依頼者が法律事務所を訪れるとき、依頼者その人の中にたくさんの傷つきがあります。

法律家は精神の専門家ではないので、内面に直接フォーカスできるわけではありません。

しかし、相手との交渉や訴訟の中で、これまで形になっていなかった自分の気持ちが、言葉になったり、証拠になったりして具現化していくプロセスを通じて、依頼者は自信を取り戻したり、自分を再確認していくこととなります。

それは、依頼者自身にとっての傷つきからの回復のプロセスともいえると思います。

同時に、交渉や訴訟等は、相手のあることでもあり、証拠等の制約もあることから、当初の希望どおりではない結論を受け入れなければならないことも少なくありません。

そこは表面的には「勝ち」「負け」があるように見えますが、勝敗は表裏一体であり、少し深めてみれば、負けの中の勝ち、損の中の得、ということもあります。必要な変化ということもあります。

突き詰めれば、「勝ち」「負け」は、相手との関係の中にあるのではなく、自分自身の捉え方の中にあるのではないかと思います。

依頼者自身が回復していく場、依頼者自身の勝ちを見出していく場として、堅い雰囲気より、和やかで、ほっとできる場の方が好ましいと思ったことから、事務所の雰囲気から「法律事務所っぽさ」をなくす、ということにつながりました。

初めて相談に来られた方が、「喫茶店の前にいるんですけど、事務所はどこですか?」と電話をかけてこられたことがありました。

依頼者が事務所に入って待つ間、手作りの布絵が語りかけてくれていると思います。

キッズスペースは、今は、うちの子ども達が作った基地が残っています。

オリーブは、先日、ドキドキしながら初めての植替えと剪定を行い、再び外に出す日を待っています。

このような雰囲気の中で、依頼者が「自分を生きる」ということのサポートができたらうれしく思います。

私自身も、日々少しずつ変化しながら、探求を続けていきたいと思います。

改めて、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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