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【「やぱ好き」創刊までの母子手帳2ーー聞き流し教材は成立するのか】

英語学習者として、編集者として、人々の生活の中に新しい教材を取り込んでもらえるのかを24時間考えてきました。

朝起きて、シャワーを浴びて、テレビを見ながら朝食を食べて、家を出て、電車に乗って、会社へつき、仕事をして、昼ごはんを食べて、仕事して、疲れて、退社して、夕飯を食べて、電車に乗って、家に着いてーー24時間の生活の中に、どこに自分の商品を取り込んでもらうのか、いや自分が作ったものでなくてもいい、本来あるべき教材をどのタイミングに取り入れるべきなのか。

かつて、有名プロゴルファーのI君や大女優のYさんがユーザーだった「スピードラーニング」という教材があります。2021年の夏に事業を終了しているが、これは「聞くだけで英語が話せる」との触れ込みで新聞やテレビに露出していていましたね。今でも忘れられないのは、2015年、当時新聞記者だった私に、海外案件も統括していたある上場企業の広報部長が、英語学習の秘訣として「スピードラーニングで毎日英語脳に切り替わってる、あれいいぞ」と真顔で言っていたことです。だから、実際にスピードラーニングを手に取って学習していた人もたくさんいたのでしょう。一方で「聞くだけで話せるようになるわけない」との批判が、出版社から公になされていたことも事実です(今も思い出したかのようにこの商材についての意見をソーシャルメディアで見かける)。

なお、補足しておくと、事業を終了したスピードラーニングは現在、「オーディブル」など音声プラットフォームで配信を開始しているようで、この教材は基本は英語が流れた後に日本語が流れるシンプルなものです。

この商材について、私は特に主張は持ちません。
ただ、音声素材については可能性を感じていて、
「英語(例: Good morning)」→ポーズ→「日本語(おはよう)」
あるいは
「日本語(おはよう)」→ポーズ→「英語(Good morning)」
という音声が流れれば、脳内で訳を確認したり、瞬間英作文をすることは可能なはずです。バッグから書籍や教科書を取り出さなくても、耳で聴けるのは隙間時間や移動時間には非常に便利だ。

初級者から上級者になるための全てのプロセスを音声のみで成り立たせることができると思っているわけでなく、副教材としてこうした素材は有益で、そうした音声素材は、例えば目の不自由な方にとっては非常に役に立つでしょう。

では、なぜこれまで「英→日」「日→英」の単純な音声素材が一般化しなかったのか。

次回はこの点について書いてみたいと思います。

MASANO-RINGO
『日本の論点』編集→記者→英語雑誌編集長→「やっぱり英語が好き!」編集主幹/新宿高校/SILS/Getty Images contributor/国際交流グループPhotowalk Tokyo創設/簿記2級/ニュース検定1級/1985年生まれ


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