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うれしい言葉、苦い言葉

若いころ
学生の頃は、まだまだ未熟者ということで、親、先生、先輩から指導されたり、教えられたりしました。時に反発し、憎んだこともありました。
社会に出て、新人と言われるころは、よく似た状況は引き続きありましたが、歳を重ねていくと、なかなか指導を受けたり、耳の痛いことを言われる機会が減っていきました。

確かにいい歳した人に、「それはどうでしょうか。」と苦言を呈する機会なんて、めったにありません。それだけにイタいことになっても、誰にも何も言われなくなると、気がついた時には、重症化していることもあるのです。本当に恐ろしいことです。

母が管理職のころ
現在80歳の母が、看護師として在職中の出来事です。あるとき上司である病院長からお褒めの言葉をもらったそうです。その時母はいつも通り「スタッフのおかげです。皆がいたからできたことです。彼らに感謝しています。」と言いました。(ほんと優等生です。)いつも母はこんな返しをする人です。

そこで病院長は「あんたも頑張ってるってことやで。わかっているか。」と言ったそうです。母はいまだにそれがどう言う意味か分からないと言いました。

「まずは、褒めてくれたことに対して、ありがとうございますと院長の言葉を受け取るべきだったと思う。謙遜するのも過ぎたら、卑下しているように思えてくるわ。」ちょっとキツめにいいました。

母はムッとして、「卑下なんてしていない。スタッフに感謝するのはあたりまえ。」そう言いました。そう言いながら必死で「卑下」と言う言葉をググっていました。

ひ‐げ【卑下】① おのれを低くし、卑しめること。へりくだること。また、気がひけて遠慮がちにすること。また、そのようなさま。② 卑しめ見下すこと。また、そのようなさま。③ 卑しいこと。みすぼらしいこと。

コトバンク精選版 日本国語大辞典より

「それに歳をとったら、なかなかそれおかしいとは言ってもらえなくなる。ましてやトップの人間には言いにくいもんよ。ある意味、トップは孤独。気がつくとワンマン経営者になっている社長もよく聞くでしょ。
だからまず頑張ってきた自分に対するお褒めの言葉を「ありがとう」と受け止めたうえで、スタッフのおかげと感謝を述べるのが二重丸じゃないかな。まあ退職したから今さらだけどね。」母は終点駅につくまで考え込んでいました。

褒められ慣れていない
あまり褒められ慣れていない人が多いような気がします。だからこそ私は、相手の出来るだけ良いことを見つけて言葉にして伝えるようにしています。自分の良いところに気がついていない人が多いからです。褒めらたら「いやそんなことないです」と言う人も多いですが、まずは「ありがとう」と返してみるのも悪くないと思います。

わたしは褒めてもらうと素直に言葉を受け取り「うれしいです。」「やっほー褒められるの大好き」「豚もおだてりゃと木に登る!(byヤッターマン)」と言います。そしてもちろんその後に皆さんのおかげだと言います。これは紛れもない事実です。でも褒められるのは本当にうれしいし、その言葉は、私が全身する原動力、ジェット燃料になるのです。

苦言こそ有り難くいただく
歳を重ねて正面切って苦言を言われることが少なくなる年代になりました。偉そうなことを書いていますが、私は完璧な人間ではありません。ありのままの私はお調子者で毒舌家で、へなちょこな人間です。だからこそ少しづつでも変わっていきたいと願っています。

だからこそいただける苦言は有り難くいただき、バージョンアップしていきたいです。その時は凹むかもしれませんが、指摘されたことは、出来るだけ迅速に対応してみます。やってみて無理か、他の方法はないか検討してみればいいというスタンスです。そうすれば例え1ミリサイズの微々たるものでも進化していけると信じています。

母は私との会話で1ミリぐらい変わるかもしれません。死ぬまで勉強、死ぬまで成長ですから。もうすぐ81歳がんばれお母ちゃん!



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