語学学習は、100%を目指すな!

語学の勉強は、完璧を目指すと、必ず挫折します。それは、〈奥深い言葉の海〉に飲み込まれてしまうからです。おっと、表現がいささか、曖昧過ぎましたね。

英語に限らず、言語の勉強は、何百年かけて、作られてきたもの。そして、今も作られ続けているものです。そこには、覚えていかなければならない知識や技術がたくさんあります。

人間の寿命が、80年だとして、それらすべてに完璧になることは難しい。ましてや、人生の途中から、学び始めたのなら、尚のことです。

けれども、ひとつの言葉に関して、必ずしも100%精通していなければ、日常生活を全うできないわけではありません。

ここは母語である日本語で、考えてみましょう。 

我々は、日本語を話すのに、いちいち国語辞典に書いてある言葉、広辞苑に書いてある言葉、全てを理解して他人と話をしているわけではありませんよね。また、国語の時間に習うような、「これは助動詞の連用形で…」など、いちいち考えて話しているわけではないはずです。 多少文法が違っていても、なんとな~くで伝わってしまうことも多いはず。

それに、実際の会話は、言葉以外にも、目や耳や鼻などから得る非言語の情報も多いので、言葉がそれほど理解できなくても、何となく相手に、何かを伝えることはできてしまうわけです。

だからこそ、我々は、外国語の習得において、「完璧」を目指す必要はなく、まずは相手に自分の考えや意図を、ざっくりと、伝えられるようになることを目指せばいいわけです。そして、少しずつ「より正確に、より詳細に」相手に自分自身の気持ちを伝えるようにしていけばいいのです。

何故なら、言葉を使う目的は、「相手のことを理解し、自分のことを理解してもらうこと」だから。その目的を達成するために、言葉を磨き、達成できれば、それで用が済むわけです。

だからこそ、観光地で外国人向けに、英語でやりとりしている露天商のお兄ちゃんだって、完璧な英語を話さなくても、外国人のお客さんとコミュニケーションがとれ、商売が成り立っているわけです。

では何故、我々は完璧を目指してしまうのでしょう。

大きく分けてその原因は2つあると、やんやんは、思っています。ひとつは、外国語を学ぶことが、「〈試験制度〉というものに組み込まれた」から。そして、もう一つは、「比較してしまう」からです。

外国語を学ぶことが試験制度に組み込まれること、それ自体は、私は少なくとも悪いことだと考えていません。なぜなら、自分の能力を点数化し、数値化することで、現在の自分の立ち位置がわかり、より良い環境や待遇面を求める際の、行動のモチベーションや意識づけの動機になるからです。

一方で、〈試験制度〉の弊害もあります。それは、数値化することで、点数により個人間の格差が客観化され、誰の目に見ても明らかになってしまいます。また、合否が存在する試験であれば、点数によって、合格するか不合格になるかが決まってしまい、その結果、不合格という結果になってしまうと、学習への意欲やモチベーション、さらには自己肯定感も、低めてしまう可能性がでてくるわけです。

やんやんは、これが〈試験制度〉の大きな弊害だと思っていて、試験それ自体は、語学の本来の目的である「相手のことを理解し、自分のことを理解してもらうこと」を磨くため手段としての制度なのに、いつの間にか点数をあげること、合格することが目的化してしまい、純粋に外国語を学ぶ喜びや楽しみを、忘れさせてしまうのです。

また、「比較してしまうこと」も問題だと思っています。この場合、比較してしまう対象は、色々あります。

先ほどの試験結果だったり、自分よりも点数の数値が高い、あるいは話せている(と思い込んでいる)友人や知人だったり、理想の自分だったり、と様々だと思いますが、いずれにしても、《本来こうでありたい》と思う理想の自分に到らない現実の自分の現状を見て、歯がゆくなって、嫌になってしまうわけですね。その結果、人によっては、学ぶのを辞めてしまうようになってしまうわけです。

ですが、繰り返しになりますが、英語を初め、どの言語も、一朝一夕にできたわけではありません。その成立には、莫大な時間や、莫大な数の人々によって試行錯誤がなされてきたわけです。

そんな言葉の奥深さに、一人で立ち向かい、果敢に挑戦する必要はありません。自分で壁を高くして、その壁を超えられないと、嘆く必要もありません。

まずは、「相手のことを理解できること。自分のことを相手に伝えられること」を目指し、相手とわかり合えたときの、喜びや楽しみを感じましょう。

具体的には、まずは6割話せて、聞き取れるようになれば、OKです。
外国語の壁に躓いて、なかなか前進できない方は、《まずは「6割」》
そこまで、ご自身の意識を撤退し、そこから再び歩き始めてみて下さい。


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