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【M-1グランプリ2021】ミキ・EXIT・四千頭身―「準決勝に上がれないお笑い第七世代はつまらない」という奴らは虹の黄昏とモダンタイムスとインポッシブルに謝れ

去年もM-1グランプリの予選期間中、この手の記事を見かけた気がする。

要約すると、

・お笑い第七世代ってちやほやされてる割には、M-1で準決勝にも上がれないのか

・四千頭身、ぼる塾、Aマッソにいたっては三回戦落ちww

・第七世代も終わったな

という論調である。はっきり言って、この手の記事はゴミだし、乗っかっている連中にもムカムカする。芸人へのリスペクトがないから?お笑い好きでもないのに人を叩きたがるから?それもある。

しかし、最大の理由は、連中が虹の黄昏とモダンタイムスとインポッシブルを侮辱しているからだ。

詳しく書いていく。

そもそも第七世代の定義が曖昧すぎる

よく知られているように、お笑い第七世代という概念を提唱したのは霜降り明星のせいやである。2018年末のラジオでの発言以降、瞬く間に第七世代という言葉は広がっていった。当時、霜降り明星がM-1グランプリを優勝した直後だったことも大きいだろう。一挙一動が注目されている状況下で、自分たちを世代でくくり、上の世代との差別化を図ったせいやは非常にクレバーだった。

そして、霜降り明星とキャリアが近い芸人たちは第七世代に分類され、メディア露出が増えていく。細かい定義はないものの

・80年代後半以降の生まれ

・結成10年前後

などが特徴とされている。また、いわゆる「人を傷つけないお笑い」と形容されているのもこの世代のポイントだ。

霜降り明星以外では、

・ミキ

・EXIT

・四千頭身

・ハナコ

・かが屋

・ティモンディ

・ぼる塾

・3時のヒロイン

・蛙亭

・Aマッソ

・カミナリ

・ぺこぱ

あたりが代表格だろう。空気階段やザ・マミィなどが入ってこないのは、ゲスさクズっぷりを強調した芸風が、どことなく第七世代のさわやかなアイドル感とそぐわないからではないか。

彼ら、彼女らはテレビ業界を中心に脚光を浴び、ハイスピードで売れていった。それゆえ、コアなお笑いファンからは「実力不足」「客寄せパンダ」と揶揄されることも多い。正直、自分も第七世代の全員が、仕事数と同等の実力を備えているわけではないと思う。

しかしである。不思議なのは「第七世代」という概念が適用されるのは、なぜかテレビで売れている芸人だけなのだ。大阪の劇場をにぎわせているマユリカやビスケットブラザーズはここに入ってこない。さらに、第七世代の四千頭身の3人は96~97年生まれ。一方、ぼる塾の田辺さんは1983年生まれ。その年の差は実に14歳。簡単に第七世代とくくられている芸人たちも、年代やキャリアはいろいろ。つまり、第七世代という言葉の定義は最初から曖昧で、そこをしっかり説明できたメディア、お笑い関係者は1人もいない。

お笑いファンならまず、「第七世代」という言葉そのものが独り歩きしてしまった現状をしっかり受け止めておきたい。

本当に第七世代は実力不足か?

先述したように、アンチ第七世代が鬼の首を取ったかのように騒ぎ出すのはM-1予選である。なぜなら、ミキやEXIT、四千頭身、Aマッソ、ぼる塾といった人気芸人たちが、2020年から準々決勝までに敗退してしまっているからだ。

ただ、Aマッソやぼる塾は2020年のTHE Wには決勝進出している。霜降り明星と同期のZAZYは2021年のR-1で準優勝を果たし、歌ネタ王決定戦ではついに優勝してみせた。これらの事実はなぜか、アンチ第七世代の頭からは抜け落ちている。今年のM-1準決勝進出者を見ても、オズワルドやマユリカ、からし蓮根、さや香は第七世代ではないのだろうか。

準決勝までで敗退したミキやEXIT、四千頭身を叩きたい人は「アイドル的人気のある芸人が嫌い」なのであって、それを「第七世代つまらない」という暴論に置き換えているだけなのだ。

M-1で芸人の純粋な実力は評価できるのか?

根本的に、M-1グランプリが芸人の実力査定の場として絶対的なのかどうかという問題も語らねばならない。もちろん、M-1が若手漫才師にとって最大のタイトルなのは間違いない。その信頼感があるからこそ、毎年のようにエントリー数は増え続け、上位進出者はブレイクを果たしているのである。

しかし、M-1は囲碁将棋、学天即、天竺鼠といった実力者を一度も決勝の舞台に上げなかった。さらに、M-1には「政治ネタ禁止」などのレギュレーションや時間制限もある。M-1とは、大会規定の中でもっとも面白い漫才をするという競技なのだ。M-1は漫才師の実力を知るうえでの大きな目安だが、絶対的な基準とまではいえないだろう。結局、M-1で優勝することはなかったナイツの塙が決勝の審査員席に座っているのは、象徴的である。

虹の黄昏とモダンタイムスとインポッシブルに謝れ

ここからが本題だ。M-1で準々決勝敗退、三回戦敗退が実力不足というなら、虹の黄昏やモダンタイムスやインポッシブルはどうなるかのか。一度も準決勝に行けないままラストイヤーを終えた、彼らは実力不足なのか。お笑い芸人として、見下されていい存在なのか。

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