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「古今和歌集」私撰秀歌 古今和歌集 巻第十九 雑体 歌1021

 ここから「巻第十九 雑体」です。

 短歌以外の形式の歌です。

 長歌、旋頭歌(せどうか)、俳諧歌が収録されています。

 長歌は、枕詞、掛詞のオンパレードです。半分以上がそういった修飾で出来上がっています。

 俳諧については、以前俳句の歴史の本で読みました。この時期の俳諧は、和歌に使われない言葉が使われているそうです。

 実際に読んでみると、普通の和歌には入っていない、砕けた感じの言葉が入っていることが多かったです。

 俳諧歌は、数こそ少ないですが、古今集の構成(季節、恋愛など)をそのまま模倣して並んでいます。

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 立春の前日、隣家から風が雪を吹き入れてきたのを見て、隣家に贈った歌。

「清原ふかやぶ

冬ながら春の隣のちかければなかがきよりぞ花はちりける」

●漢字付加:
冬ながら
春の隣の
近ければ

中垣よりぞ
花は散りける

●歌意:
 まだ冬であるが、春である隣が近いので、境の垣根を越えて、花が舞い込んでくることであるよ。

●感想:
 立春の前日だから、春が隣まで来ていると見なして、舞い込む雪を、散り来る花として詠んだ歌。

 こういった近所付き合いはよいなと思う。

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目次と序:
https://note.mu/yanai/n/n5825ea920db5

参考文献:
講談社学術文庫「古今和歌集 全訳注 四巻」(久曾神 昇)P189
#短歌 #詩

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