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本を出版したいと思った話

 母が少し前に、恩師から立派な装丁の本を受け取ったそうです。
話を聞けば高校時代の国語教師が、長年書きためてきた短歌や和歌を1つ1つそれを詠んだ際の状況を書き加えて1冊の本にしたものだそう。

 母は、比較的世間知らずな為。
「凄いよね、本を出せるなんて。凄い先生に教えて貰ったのだわ」
そう話していたのだけれど、良く良く聞けば出版社から依頼があり原稿を書いたのではなく。自分が生涯書きためた物を、自費出版したのだという事が分かりました。

 出版業界というのは、本を出したいという意欲のある人のお手伝いをする(悪く言えば、本を出したい人をカモにする)という種類の儲け方をしている業者もあるのです。

 その昔、私が無知な頃。
【新人賞作品募集】
という出版社に、原稿を送りました。

いわゆる、新人作家を発掘する新人賞なのだとばかり思って居ました。
締め切りが過ぎ、3ヶ月ほど経過して突然電話が掛かって来ました。

出版社の名前を名乗られた瞬間「まさか、入賞!」とドキドキしたのを今でも思い出します。相手様は、褒め殺し状態。
褒めちぎり、目一杯持ち上げてから・・・。

最後に「選には漏れたけれど素晴らしい作品なのでこちらで手直しをさせていただきますので出版されるお気持ちはありませんか?」と言われました。

そんな旨い話はあるかいな?
と、相手がたじろぐほどゴリゴリに話を聞けば、添削やアドバイスは無料です。ただし、出版はこちらの基準と照らし合わせると当社持ちでは少し厳しい為。出版費用を折半ではどうでしょうか。という話だそうな。

折半なら、と話を聞いていると。
「我が社の流通に乗せるだけですと、〇〇〇円。全国の書店に並べる商品として出版るすと〇〇〇円。貴女のお知り合いに、お分けするだけなら一番お安くて〇〇〇円」
そんな話しになります。

なるほど、これは折半ではなく。
自費出版事業だなと気がつくのです。
総ては金次第ということです。

母の恩師の著作も、あとがきを読んでもらった所。
生涯の総決算として、自費出版をすることにいたしました。と、書かれていたそうです。

自費出版が悪い訳でも無く、それが自尊心を肯定してくれたり、人生の大事な一幕になるのなら良いのです。

ただ、純粋に書く事で生計を立てるという夢を持っている人をターゲットにして。途中まで、話を進めてから「ここからはお金が掛かります」と言う悪質な手段も多いようでして(私は最初から、そんな上手い話は無いと根掘り葉掘り聞いたのですが)これ以上は不要です。とハッキリ言える方も、日本人だと少ない様に思います。

何か、妙なお話に載せられる人が少なくなるようにと願いながら。
少し書いてみました。