目が覚めたら10年後だった件〜第5話・副会長〜
会計の岡本による計算ミスが発覚しプチパニック状態となった。
どうやら、俺の副会長としての最初の仕事が出来たようだ…
○:どれ、借してみろ。なるほどな…全ての計算があってないのか。
岡本から借りた部費算出書を見ると先月分と今月かかる部費の計算があっていなかった。それどころか過去を遡っても計算がどれひとつもあっていなかったのだ。
○:よくこれで今まで文句や不満がなかったな…
矢:姫奈ちゃんは新入りだからまだ許されてるところはあるみたいなの…
なるほどな…
○:賀喜…これの期限はいつまでなんだ?
賀:あと、1週間後よ。
1週間後か…ギリギリ間に合うな。
○:電卓とペンを貸してもらえるか?
今から始めればなんとかなるだろ…
中:これからやってなんとかナルノ?
〇:なんとかスルノだよ!
そう言って俺は計算を始めた…
ー数時間後ー
あれから俺は計算に集中をしていた…そしたらいつの間にか日が暮れ下校時間ギリギリになっていた。
〇:どうやら今日はここまでだな。
全体の4分の1程が終わった。
回りをみたらどうやら残っているのは俺と賀喜だけだった。
〇:ほかの奴らはもう帰ったのか…気づかなかったな。
賀:みんなは私が帰らせたわ…
〇:賀喜も帰っても良かったのに…
賀:私は生徒会長だもの最後に帰るのが務めよ。
真面目だねぇ…どっかの誰かさんにも見習って欲しかったわ。
賀:ありがとう〇〇くん…助かったわ。
〇:気にするな…これも副会長の仕事だからな。
昔もこんな感じでほかのメンバーの仕事を手伝っていたりしたから慣れてはいるし。
〇:さて、と帰りますか…お疲れ様。
賀:ええお疲れ様…
俺は生徒会室を出て帰宅した。
そして翌日の放課後、再び生徒会室にやってくると昨日の続きを始めた。
俺が計算をしてる時、会計の岡本は何をしているのかと言うと邪魔にならないようにしながら俺の計算を観察していた。
ときおり、へぇ〜やほぅ〜という感心する声をもらしていたが。
それを数日間繰り返し、遂に全ての計算を終えた。
〇:なんとか期限以内には間に合ったな…
久々に頭使ったからめちゃくちゃ疲れたな。
〇:あとはこれを提出するだけか…
賀:提出の方は私がしておくわ。
賀:〇〇くんお疲れ様。今日はもう帰っていいわよ!
〇:うぃ〜お疲れ様〜!
糖分を取りたいな…帰りになんか甘いもんでも食べようかな。
なんてことを考えながら昇降口に向かっていると見覚えのある人物が立っていた。
〇:和、そんなところで何してんだ?
和:あっ!〇兄!!
和は俺を見つけるなり抱きついてきた。
〇:うおっと危ないな…
俺はよろけながらもなんとか耐えた。
〇:んで?どうしてここにいるんだ?先に帰るんじゃなかったのか?
今日は特に生徒会の集まりがないから先に帰ってるんだと思ってたが。
和:〇兄とデートしたかったの!
デートて…まぁいいか。
〇:ちょうど、甘いもん食べて帰ろうと思ってたから一緒に行くか?
和:いいの!?
〇:あぁ、デートだからな…ほら行くぞ。
俺は和と手を繋ぐと昇降口を出て、近くの喫茶店へと向かった。
〇:マスター、2人だけど入れる?
マ:おぉ!〇坊じゃねぇか!久しぶりだな…空いてるから好きなところに座れ!
〇:じゃあいつもの席に座るか…
俺の指定席とも言える席は窓際に3つ並ぶうちの真ん中の4人がけの所である。
窓の外の商店街を眺めながらコーヒーやケーキをいただくのが楽しみだった。
懐かしい思いに浸っているとマスターがやってきた。
マ:あの〇坊がこんな美少女連れてくるとはやるなぁ!これか?
そう言って小指を立てる。
随分と古い表現だな…
〇:ちげーよマスター。こいつは和、井上和だよ…覚えてないか?
マ:あの和ちゃんか!?大きくなったなぁ…
和:えへへ…お久しぶりですマスター!
マ:そうか…そりゃ俺も歳をとった訳だ!
しみじみと言うマスターに俺も何故か少し共感してしまった。
マ:今日は久しぶりの〇坊と和ちゃんとの再会だ!お代は要らねぇ!好きなだけ頼みな!!
まじかよ、マスター太っ腹過ぎるだろ!
和:なら遠慮なく頼みます!
〇:マスター、俺はいつものでお願いするわ
マ:オーケーいつものだな!
10年前はよく通っていたのでいつものでと言えば出てくる。
待つこと、数分…
マ:お待たせ…プリンケーキとマスター自家製コーヒーだ!
〇:きたきた!待ってたぜ!!
久しぶりのマスター自家製コーヒーだ!テンション上がってきた!!
マ:和ちゃんはショートケーキと紅茶のセットで良かったね?
和:はい!ありがとうございます!
〇・和:いただきます!
〇:美味しい〜!
甘すぎないプリンケーキと程よい苦味の自家製コーヒーが合うんだよなぁ!
和:マスター、ケーキおかわりください!
俺がゆっくりとケーキとコーヒーを味わってる間にも和はどんどんとケーキのおかわりを続けていた。
最初は笑顔でおう!と返事してたマスターもどんどんと疲れた顔つきになってきた。
〇:和、そろそろお会計するぞ!
和:えーまだ食べたい!
〇:それは次のデートの楽しみにとっておけばいいだろ?
デートという言葉に反応した和はしぶしぶ納得をした。
マスターは助かったという視線を向けてきた。
お会計を済ませ店を出た俺たちは再び手を繋ぎ家へと向かって帰っていった。
それにしても女子の甘いもの好きにはとことん驚かされた…
かつて母が言っていた言葉を思い出しつつ次のデートの時を考えて少し慄いてしまったのだった。
To Be Continued
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