山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格し…

山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格しながら社長まで上り詰めた今どき珍しい存在。2022年5月末に退任し、6月より会長に就任。映画好き、お酒好き。 https://www.meidaisha.co.jp/president/

最近の記事

映画レビュー「ありふれた教室」

学級崩壊や先生の過酷な労働環境など教育現場が話題になることは多い。 それは日本特有の問題だと思っていた。 実際は日本に限ったことではなく、全世界共通の問題。 本作を観て、そう感じた。 舞台はドイツの中学校。 仕事熱心で正義感の強い若手教師の行動が引き金になり、大きな問題へと発展。 その流れていく状況がとても恐ろしい。 社会派人間ドラマだがサスペンススリラーというジャンルも間違いではない。 むしろそう捉える方が正解なのかもしれない。 原題は「Das Lehrerzimmer

    • 映画レビュー「人間の境界」

      これは映画か、ドキュメンタリーか。 観ながら迷う。 これは演出なのか、リアルを描いているのか。 観ながら悩む。 実際に起きている問題を真正面から捉えているのはよく分かる。 そして胸が締め付けられる。 「マリウポリの20日間」も気になったが、今回は本作を選択。 描かれる世界は近しい。 「マリウポリの20日間」はロシアによるウクライナ侵攻から マリウポリ壊滅までの20日間を記録したドキュメンタリー。 知っておくべき事実だが、日々の報道で近い状況は把握できる。 しかし、本作は

      • 映画「Ryuichi Sakamoto | Opus」

        TVではなく映画館で上映する意味はなんだろう? と思いながら劇場に足を運んだ。 事前情報を入れずに映画を観たが、映画館での上映の意味が徐々に分かってきた。 僕は坂本龍一氏の最後のコンサートを追ったドキュメンタリーと思い込んでいた。 完全な勘違い。 映画館はイオンシネマ。 普段は80席程度の小さなシアターが多いが、本作は400名弱の席数。 そのシネコンでは一番大きなシアターだった。 それも「ULTIRA(ウルティラ)」という迫力のある鮮明映像と立体音響。 Dolby Atm

        • 映画レビュー「劇場版 再会長江」

          初めて中国に行きたいと思った。 広大な中国の風景を眺め、そんなことを感じた。 ただ風景を眺めるだけなら、行きたいと思う気持ちは生まれなかったと思う。 上海から長江の最初の一滴を辿るルートで出会う人とのふれあいを見て、 素直に行きたいという感情が生まれた。 本作を知ったのは偶然。 頻繁に通うミリオン座で長い期間、上映されている。 それも一日1回の上映。 評価の詳細は読んでいないが、星の数は多い。 なんだか気になり、映画館に足を運んだ。 本当に観てよかった。 素直に感動。 お

        映画レビュー「ありふれた教室」

          映画レビュー「ボブ・マーリー ONE LOVE」

          1ヶ月ほど前に試写会で鑑賞。 あくまでも仕事の一環というわけね。 ちょくちょく試写会にご招待いただき、都合がつく限りお邪魔している。 今回はいつもと明らかに雰囲気が違った。 映画関係者というよりは音楽関係者。 それもレゲエ音楽関係者(そんなジャンルがあるかは知らんが)が多いように思えた。 両隣も普段では接することのないタイプ。 業界内の話題性が高いという表れだろうか。 ここ最近、実話をベースにした映画を観ることが多い。 「RHEINGOLD ラインゴールド」であり、「アイ

          映画レビュー「ボブ・マーリー ONE LOVE」

          映画レビュー「無名」

          予備知識はなくタイミングがあったので選んだ一本。 何気なくレビューを読むと難解なストーリーのため、予習をした方がいいと書かれていた。 前回ブログで書いた内容でいえば前者。 気づいたのは上映の1時間前。 そこから上海事変を調べ、事前情報を頭に入れた。 本当はそれよりもっと広義な情報を入れておいた方がいい。 第二次世界大戦前後の日本の状況、中国や諸外国との関係性、それは知っておいた方がいい。 ただ即席で頭に入れる必要はなかったかもしれない。 歴史認識を持っていれば対応できる作

          映画レビュー「無名」

          映画レビュー「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」

          今年は実話をベースにした注目すべき作品が多い。 本作もその一つ。 1850年代のイタリアでカトリック教会が7歳になる少年を連れ去り、 世界で論争を巻き起こした史実をベースにしている。 解説を読んだだけでは、何のこっちゃ?と思ってしまう。 映画を観てストーリーは理解したが、問題の大きさは半分も理解していないと感じた。 まずは置かれた環境。 無宗教に近い仏教徒の僕では宗教の持つ力や影響力があまり認識できていない。 洗礼という儀式の重さもあとで調べて分かっただけ。 洗礼が一人の

          映画レビュー「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」

          映画レビュー「青春18×2 君へと続く道」

          映画の観方は2種類あると思う。 ひとつは事前情報や解説をしっかり予習して臨む作品。 もうひとつは事前情報を何も入れず無の状態で臨む作品。 本作でいえば後者。 監督は藤井道人で主演女優は清原果耶ということだけで十分。 本来、主演はシュー・グァンハンになるけど。 あとは何も知らない方が映画を楽しめる。 何度なく観た予告編で、よくある恋愛映画くらいの気持ちで足を運んだ。 正直なところ、あまり期待もしていなかった。 ただ藤井監督作品は気に入っている。 一般的な評価はあまり高くはな

          映画レビュー「青春18×2 君へと続く道」

          映画レビュー「カムイのうた」

          僕らは日本のことを知っているようで知らない。 海外で犯した出来事は自国で伝えなくても、勝手に他の国が伝えてくれる。 それにより愚かさも賢さも知ることができる。 しかし、国内で起きた出来事はどうか。 海外からは伝わらない。 自らを語らない限りは知る術がない。 知識不足ともいえるが、教育として片手落ちともいわざるを得ない。 臭い物に蓋をする傾向は多かれ少なかれあるのだろう。 僕らはアイヌの置かれた実態をどこまで理解していたのか。 僕が無知なのは100%認めるとして、初めて知り

          映画レビュー「カムイのうた」

          映画レビュー「あまろっく」

          ポスターを見て想像したのが、「江口のりこが尼さんになってロックでもやるのか」 という次元の低い考え。 それはそれであり得なくもないが、実際はそのかけらもない。 尼崎市にある「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」のこと。 この水門が水害から守ってくれるので、地元ではそう呼ばれている。 映画の冒頭で明かされるが、後々まで重要な意味を持ち、そのタイトルに救われる。 日本映画は重厚で闇を描いた人間ドラマをよく観るが、人情味溢れるライトなドラマも好きだ。 誰もがほっこりし温か

          映画レビュー「あまろっく」

          映画レビュー「アイアンクロー」

          「RHEINGOLD ラインゴールド」に続いて実話を基にした作品を鑑賞。 侮っていた。 映画評論仲間からも評価の声は届いていたが、侮っていた。 プロレス一家の悲劇を描きながらも、単純明快なスポコンドラマと想像していたが、 その想像をはるかに超えていた。 80年代、プロレスはかなり人気があった。 中学、高校時代の友人もプロレスファンは多く熱く語っていた。 僕はアニメのタイガーマスクは好きだったが、プロレスは話題についていく程度。 さほど興味はなかった。 金曜のヒマな時(確

          映画レビュー「アイアンクロー」

          映画レビュー「パスト ライブス 再会」

          解説には「海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、 24年の時を経てニューヨークで再会する7日間を描いた、 アメリカ・韓国合作の大人のラブストーリー」と案内されている。 普段なら「ふ~ん」と素っ気なく通り過ぎる。 この年齢になると恋愛映画に興味を示さない。 あまり気が向くこともない。 しかし、なぜか観てしまった。 アカデミー賞ノミネート作品というのも、その前評判の高さもその理由。 また、何度となく予告編を観て、感情を抑えた演技に惹かれたのもその一つ。 恋愛映画は

          映画レビュー「パスト ライブス 再会」

          映画レビュー「RHEINGOLD ラインゴールド」

          本作はドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ合作。 お互いどんな接点があるんだろうと不思議に思ってしまう。 映画の舞台となるドイツ、オランダは理解できるが、 メキシコは一体どんな絡み方か。 どうでもいいことを考えてしまう。 映画が始まり15分ほど経過した時、重厚な社会派ドラマと錯覚した。 イスラム革命により迫害された音楽家家族が痛々しく映し出される。 紛争に巻き込まれた最中に子供を一人で出産するシーンはまさにそう。 観る側も辛くなる。 その後ドイツに亡命し、新たな生活がスタ

          映画レビュー「RHEINGOLD ラインゴールド」

          映画レビュー「オッペンハイマー」

          本年度のアカデミー賞の主要部門を独占した話題作。 何も考えずに映画館に足を運べばいいが、そうはいかない。 180分の超大作であり、難解作品の多いクリストファー・ノーラン監督。 気軽な気持ちで行くときっと後悔する。 素直な感想でいえば、予習は怠らない方がいい。 解説やあらすじを叩き込んで臨んだ方がいい。 僕は事前情報を頭に入れずに臨んだが、少し後悔。 僕の理解力もあるが、登場人物の関係性や会話の内容は余程の集中力がないとついていけない。 もしくは2回、3回、観るつもりでまず

          映画レビュー「オッペンハイマー」

          映画レビュー「映画 マイホームヒーロー」

          予定はなかったが、映画コラムニスト仲間が評価していたので、観ることにした。 原作漫画も知らなければ、ドラマ化も知らなかった。 過去の描き方がえらく雑だなと思っていたが、それはドラマで描いていたのが理由。 特別出演の吉田栄作の扱いが瞬間的なのもそう。 あとで確認して分かった。 どうやらドラマでは7年前が中心のようだから。 ドラマを見ていたら、本作はもっと楽しめたはず。 今更いってもおかしいが・・・。 映画だけだと粗が目立ちツッコミどころも多いが、大衆ドラマとしては及第点。

          映画レビュー「映画 マイホームヒーロー」

          映画レビュー「ビニールハウス」

          ポスターに書かれたキャッチコピー「半地下はまだマシ」。 半地下とは4年前に公開の「パラサイト 半地下の家族」を指すだろう。 その生活がまだマシというのは韓国はどれだけ負を抱えた国なのか。 最近、目にする韓国内の報道も暗いニュースが多い。 日本の出生率なんて比較にならないほど低い。 そんなに将来に希望が持てないというのか。 低所得層がビニールハウスで暮らす実態はあるという。 そこまで貧富の差が広がっている事実を映画は教えてくれる。 原題は「Greenhouse」で日本語訳は

          映画レビュー「ビニールハウス」