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映画『ベイビーブローカー』を観てきた

『ベイビーブローカー』は日本人の是枝監督が、自身以外オール韓国スタッフで臨んだ作品だ。

以前紹介した『珈琲時光』にも似た作品作りである。
今作は2016年ごろから構想があったとのこと。是枝監督はどうして韓国で映画を撮ったんだろうか?

赤ちゃんポスト

是枝監督が韓国から依頼され、いつか韓国で映画が撮れたらという思いが実現したのが今作である。なので赤ちゃんポストありきで制作されたわけではない。
しかし、韓国の社会問題として多く人が関心を寄せている題材である。そして日本でこれをやると嘘くさくなる。

映画は自分の赤ん坊を養子に出そうと決意する母親と、それを仲介する裏のブローカー2人、ひょんな事から車に乗り込んだ少年の5人組が、赤ん坊の養子先を探す旅路を描いたロードムービーである。
そこに養子の裏取引を現行犯逮捕したい刑事2人が後を追う。
目的地に向かっていくにつれて、赤ん坊の面倒などの実際的な役割が決まっていく。それにつられて5人それぞれの擬似家族的な立ち位置も定まっていく。
母親は1人では子供を育てられないと諦めていたが、周囲の協力を得られれば子供を育てられるんじゃないかと希望を持つ様子が伺える。
本当は母親も子供を手放したくないのだ。

今作で是枝監督は赤ちゃんポストを通じて、家族のあり方を描いた。これは韓国を舞台にしたからこそ描けた映画だったと思う。

ソン・ガンホ

もう一つはソン・ガンホという俳優である。
韓国の渥美清であるという記事を何かで見たが、僕もそう思う。
今回、ソン・ガンホが演じた韓国の下流社会で生きるクリーニング屋の店主と、日本のお祭りでよく見かけた昭和っぽいテキ屋の感じが重なるからだ
どちらも3枚目で、人情味溢れるような役がハマる。
そして、今の日本の俳優で渥美清の後継者的な人は思いつかない。
是枝監督が、今回起用したかった気持ちがわかる。

また、ぺ・ドゥナの深津絵里感は、それはそれで良かった。

観た感想


この手の作品は間延びして退屈になりがちだが、途中に様々な仕掛けがあってぜんぜん飽きなかった。
考えさせられる事も多く、DVDが出たら改めて鑑賞したいと思う作品だった。
是枝監督は『海街Diary』しか観てないので、『万引き家族』も観てみたい。

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