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地震(2023.12.20)

夜、PTAの役員会から帰ってきたら9時半。子供たちはすでに寝る支度ができていて、お布団のある和室に行っていたのに、遅い夕飯を食べている私のところにやってきてその様子をつぶさに見ている。夕飯はカレーとサラダだった。そして長女はサラダの中に入っているサラミを野菜と一緒に食べると美味しいと、しきりにアドバイスしてくる。サラダにサラミ!

「皿にさらさらのサラミとサラダがサランラップにさらりと包まれ、さらにサラダのサラミがさらされる皿さらわれるさらば皿からサラミがさらしもののサライ」

というサラダとサラミから早口言葉を考えてみた。是非音読してみて欲しい。

そのうち妻が風呂に行ってしまった。長男は「勉強終わったからスイカゲームさせて!」と言ってきたので、私は今日は「うん、いいよ!」と快くスマホを渡した。

そうしていると、何か揺れた気がした。部屋全体が「ガタッ」と。その事に私と長男だけが気づいていた。「揺れたよな?」「うん、揺れた」その横で長女と次男は呑気に遊んでいる。

そのまま私はカレーを食べていた。おかわりして食べていた。美味しかった。

そして今度はさっきのより格段に強い揺れが一瞬来た。ガタタタッ!

私は子供たちをテーブルの下に隠れるよう促す。「やばい!来たかも!」と私は思う。血相を変えてテーブルの下でうずくまる子供たち。

揺れは一瞬だった。激しい揺れのわりには長く続かなかった。すなわちこれはとても近いところを震源とした局所的な揺れだと思った。

テレビを付けると、しばらくして震源が大分県中部だという事が分かる。そして最大の震度は別府の2。つまりこれは鶴見岳の火山活動によるものだという事が推測できる。

別府は日本一の湧出量を誇る温泉地だが、それは裏を返せばその地盤の直下に膨大なマグマを抱えている事を意味する。鶴見岳は活火山であり、噴火の可能性は常にある。防災訓練はいつも鶴見岳の噴火を想定して行われるし、避難先は溶岩や噴石から身を守れる場所に設定されている。斜面に広がる別府の町の大半は津波の心配こそないものの、その背後にそびえる鶴見岳の噴火リスクが常につきまとうのだ。

テーブルの下で怯えている子供たち。長女はダンゴムシの恰好のままぴくりとも動かない。良い傾向だ。地震は怖いものと思っていた方が怖がらないよりはよっぽど良い。

それから地震こそなかったものの、地鳴りが何度も何度も続いた。地面の下の深いところに巨大な生き物がいて、それがうなり声を上げているような不気味な地鳴り。不安そうな子供たち。寝室である和室はあえて物を何も置かないようにしているので、地震が来たときは一番安全だから、安心して寝るようにと子供たちに言い聞かせる。

やがて子供たちは静かに眠りに落ちて、一緒に私も眠ってしまった。

起きたら日付がもうすぐ変わろうかという時刻。妻はまだ起きていて、いざという時の防災バッグを点検していたそうだ。この「備える」というのが私は全くできないので、助かる。

しばらく落ち着いていた鶴見岳だが、再び活動期に入ったのかもしれない。「もし噴火したら」と私はいつも想像している。このへんに住む人たちは皆そうだ。あと数十年ここに住んでいれば一度くらいは鶴見岳が噴火する事も十分に考えられる。備えなければ。

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