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⭕日々の泡沫[うつろう日乗]10

『あちこちオードリー』でインパルスの板倉が若手の芸人に絶望裁断をしていた。胸に刺さりすぎる程の名言を吐いていた。ちょっと…というくらい。聞いてしばらく呆然としていた。
「お前の才能に金を払ってるんじゃねぇ。上がった名声に金を払ってるんだ。そこんとこ間違うと傷つくぞ。」
いい歳してそんなんで刺さるなよ。
と、思う。
もう一つ同じようなことで、〈有名になろうとしない人で有名になった人はいない。〉
これは長いこと横目で見ながら過ごしてきた。名前がでていないことで、いくつか嫌なことはあったが、おおまかには、所謂、できることができれば良い環境で生きてきた。名前がなくても〈できる〉何かをもっていれば、技術がなくてもできる。それには一つだけ条件があって、〈見えている〉ということだ。見えていなくて闇雲は駄目だ。
で、そうやってどうにかこうにか、やりたいことをやってきたが、ここに来て、そうは行かなくなった。名前がある、有名な人でないと駄目な領域に入ってきたからだ。領域というのは、年齢、高齢ということだ。高齢で名前がない奴は、できてない奴、できない奴に分類される。それをひっくり返すことができなくなった。
同じぐらいの歳の有名人がこちらにしてきた非道なことをひっくり返せなくなった。それは社会的認知が優先されるからだ。(余り書いたことない表現なので言い方があってるか分からない)
弟に財産と母親を占有されて、訴えても裁判所は取り上げない。弟は社会的認知の高い職業についているからだ。清泉女子大の教授。こっちは名もないやさぐれ男。見かけから身分から…。
弟のことに係わらず、けっこうことごとくそうなっていく。言葉のDVで人を傷つけても、有名作家、上りかげんの作家なら、世間も出版社もそっちの味方。文章一つ書けない自分はどうしもようもない。
文章一つというのは、失礼だ。嘘もホントもないまぜにして面白くエンターテイメントする筆の力は、そんなに簡単に身に付くものではない。美術大学を出た学生がすべてアーティストに慣れるわけではなく、小説家になり方、文章の書き方なんてレクチャーを受けても、書けるようになるわけでもない。
ここ6ヶ月死に物狂いで文章が書けるようにいろいろやってみたが、〈駄目〉なのが昨日判明した。自覚したっていうことだ。
その位わかる。長いこと文字の側でもがいてきたのだから。正確には見てきたこと、感じてきたことを出力するのに文字を使おうとしてもがいてきたということだ。
どんと目の前が暗くなって、口が乾いてきた。
破壊衝動が起きてきてので慌てて外に出た。雪が降っていた。隅田川のほとり。

嗚呼。
いくらでも死ねるな。
そう思った。
書き留めておこう。
そう思ったが、書く言語をもっていないことに気がついた。
さらに闇が暝くなった。
桜橋を歩く。半分雪が溶けている。
すっと滑り落ちるように雪の上に力を入れれば
簡単に墜ちていける。隅田川に。
ちょっとやってみようかな。実験してみようかなと思ったが、やったら間違いなく落ちるな…と思った。
死ぬ死ぬって言う奴は死なない。
ペヨトル工房が最期の時に、社員に二人が鬱で自殺した。二人とも病気を自覚していながら、死ぬ奴は馬鹿だ、私は死なないと言っていた。そして普通の連絡を何人かにして、すっと消えていった。
二人を思い出す。大きなところでは文化的なものを発揮できる雑誌とかそういう場所が、かろうじて生きる役にたっていた…というのが一部あるだろう。

やりたいこと、してしまうこと。
それは向こうから自動的にやってきた。
今は。
探しても何もない。

やられた記憶だけが
身体にひりひりとしている。
これを解消するには、自傷かDVしかないだろう。
言葉で受けたDVは、言葉で返すのが筋なのだろうが、言葉を上手に使えない自分は…。
やるなら必殺の行為をする他ないのかな
と、
思う。

暴力やDVの行為は、
自分の意図とは関係なく
起きる。
きっかけは掴みにくい。
…。
追いつめられてるな。
自分。

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