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【第2章】プロットを書く時のコツ

⑥ 超実践的!プロット作成のコツ

前回、こちらのnote(プロットを書くときのコツ)でプロットに関して書かせていただきました。思っていた以上に好評で良かったです。プロット作りの基本となる軸を書かせて頂いたので、今回はその続編になります。より実践的、実用的に書きます。プロデューサー、映画監督、そして何より脚本家志望の方に少しでも役に立つものがあれば幸いです。

⑦ 過去形を使わず、できるだけ現在形で書く。

A「昔々、桃から生まれた桃太郎という男の子がいた」
B「老婆が大きな桃に包丁を入れようとしている」
C「大きな桃が川の上流から流れて来る」

こちら、前回も紹介した桃太郎のプロットになります。実はこれ、気づいた方もいるかもしれませんが、Aだけが過去形になっていて、BとCが現在形になっています。800字などで1時間ないし2時間尺のプロットを作らなければならない場合は別として、ある程度シーンやディテールが書けるプロットなら、極力現在形で書くことをおススメします。
(たとえばつんく♂中2プロジェクトのような、短編映画を1000字以内で書くような場合なら、現在形がおススメです)なぜならそのほうが「今、目の前で起こっていること」としてシーンを可視化しやすいからです。前回も書いたように、画が見えやすいんです。

⑧ 主人公の変化がわかりやすいように書く。

仮に1000字で短編映画のプロットを書くとして、起承転結を以下の目安にします。

起 300字程度
承 200字程度
転 400字程度
結 100字程度

ここで大事なことは「転の400字」を通して、起から結にどういう変化があったかです。
逆に言うと、起の部分において主人公にどういう問題が発生しているかが重要です。

起:主人公Aはお金がなくて困っている(問題発生)
承:お金をなんとかするために工面するがうまくいかない。
転:思いきって銀行強盗をする。
結:犯罪者にはなったが、お金を手に入れてウハウハする。

上記の場合だと「お金がない」という状況から「お金を手に入れた」という変化があります。
では、桃太郎だとどうでしょうか。

起:桃から男の子が生まれた。
承:村人が鬼に困っている(問題発生)ので、サル、キジ、イヌを仲間にして出かけた。
転:鬼ヶ島に上陸して鬼退治した。
結:村に平和が訪れた。

実は桃太郎の場合、主人公の変化がわかりにくいんですね。「桃太郎自身が何かに困っている」「何かができない」という状況が、起の部分にないからです。承の部分に来て、ようやく問題発生していますが、本人に降りかかっている問題ではないので主人公の葛藤としては弱いです。
昔話だからこれでもいいですが、映画やドラマや舞台など現代の物語で考えると、感動が薄くなってしまいます。これなら先に書いた銀行強盗の話のほうが、まだマシです。

では仮に、桃太郎に変化をつけてドラマチックにするにはどんな方法があるでしょうか。
「桃太郎自身が何かに困っている」「何かができない」これを頭に持ってくる必要があります。

起:村が鬼に襲われて、村人たちも桃太郎も困っている。
承:サル、キジ、イヌを仲間にして出かけた。
転:鬼ヶ島に上陸して鬼退治した。
結:村に平和が訪れた。

どうでしょうか。こうなるとオープニングシーンは、やや過激にはなりますが「村が鬼たちに焼かれているシーン」から始まりそうです。そして桃太郎が友達や家を失い、途方に暮れている(復讐を誓う)なども描けそうです。
で、そうなると、結の部分ではより達成感を得られることができそうです。起の部分で、「平和」なんて手に入らないというアンチテーゼが描けていれば描けているほど、効果は高いと思います。

ここからが超重要です。

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