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ゆっくりと反復する。

私は映画を見るのが好きです。しかし、映画に対する不満があります。それは劇的な時間を演出してしまうということです。劇的な時間とは決定的な台詞によって登場人物が変わるとか、そういう瞬間を演出することです。

でも人が変化するとはゆっくりと変わるものです。少しずつ変わりながら、変わったときには、変わったんだなと気がつくそういうものです。映画でゆっくりした時間を見せると退屈と思われる映画になりがちです。みんなせっかちなので待てないのです。待つことができずに、すぐに何かを期待してしまいます。

ゆっくり考えるのは大事なことです。会話をしていて瞬時に返さなくてはいけない場面はあります。そうではなくゆっくりです。なにかが起こるのを待つのです。

人は悩むことがあります。悩むことと考えることは違います。考えることは、分解し、延長し、積み上げ、また分解する。そんなことを順序だって行うことです。悩むとは繰り返すことです。同じことをぐるぐると反復することです。悩むことはどこかに行き着きません。ただ同じ場所で回っているだけです。

同じことを繰り返すのに意味はないと考える人もいると思います。悩むことをすぐにやめて、考えることに切り替えるべきだと言うかもしれません。悩んでも問題解決はしないと言うかもしれません。問題解決能力を高めるべきと言うかもしれません。

私とは結局、反復することの他にありません。始まりでもなく、終わりでもない、結論でもなければ、解決でもありません。ゆっくりとした反復こそが悩むことなのです。周りの人間からすれば、イライラするだけです。なぜ同じところを回ってるのか、なぜ出ようとしないのか、なぜ働きかけないのか、でも反復があるだけなのです。

急かされたからといって、急いではいけません。ゆっくりと持続です。ゆっくりした時間を持つのです。劇的な瞬間ではなく、ゆっくりとした時間を生きるのです。そんな時間は何事もなく過ぎていきます。朝が来て昼が来て夜が来ます。春が来て夏が来て秋が来て冬が来ます。

何を繰り返していたのかもわからなくなるほどの時間が過ぎ、瞬間というものがわかるようになるのです。ゆっくりした時間を待つこと、持続すること、それが必要なのです。


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