6月の推奨香木②:截香してみました

夢の浮橋②

A. 沈香の真那賀

『仮銘 夢の浮橋』を何段か輪切り状に挽いてみました。
虫眼鏡で拡大すれば、原木である沈香樹の管状の組織(篩管)の断面が確認できそうなほど樹脂化の密度が粗く、また樹脂分の詰まり具合も十分ではありません。

この樹脂化の粗さ・未熟さが真那賀に特有の仄かで儚く上品な味わいを生み出してくれていると感じられるのは、とても面白い現象だと思います。

一部に白っぽく見える箇所が点在していますが、それらは樹脂化の密度がほぼゼロに等しいため加熱しても原木である沈香樹の匂いしか出しません。
短冊状に割ってみると次の写真のようになりますが、白っぽい箇所は分木の対象外とさせて戴きます。
(ご参考までに、サービスのつもりで取り除かずに入れておきます)

夢の浮橋③

B. 真那賀に使われがちな伽羅

続いて『仮銘 さきそふ枝』も一部を挽いてみました。
既に角割状に截香してあるため輪切りに挽くのは細かい作業となり、久々に指先が痛くなりました。

さきそふ枝②

さきそふ枝③

挽いてみて初めて判ったのですが、挽き粉には外見からは想像できなかった ‟ 伽羅らしさ ” が発揮されました。とても柔らかいのです。
やはり、沈香とは明らかに一線を画す特性を具えています。

とは言え、全体的には樹脂化にムラがあり、樹脂分の密度は決して高くありません。
伽羅らしい箇所と、木所の判断に迷うような箇所とが混在する、面白い香木と言えます。
ぜひA・Bそれぞれの個性を比較対照されつつお愉しみ下さいます様、お奨め申し上げます。

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