4月の推奨香木は、予告通り、真那賀の古木第3弾です♪

創業40周年記念の感謝企画として聞香会の特別会で古木の味わいを堪能していただいたり、大きさに余裕がある場合には推奨香木として分木させて戴いたりして、おかげ様でご好評を博しています。

殊に、稀少な沈香の真那賀として『浪花芦』・「仮銘 夢路」を分木できたことは、伽羅で代用するのでは聞き分けられない真那賀特有の曲(くせ)を、反復して聞くことによって捉えて戴けるという点で、大いにお役に立てたと自負しています。

新春を寿ぐ本年最初の聞香会を特別会として数々の古木を聞き比べて戴きましたが、その際に炷き出した第三の真那賀も大好評でした。

珍しく「沈香」とのみ書かれています

いつの時代のことか不明ですが、愛蔵した当時の持ち主が香包に「沈香」と大書しており、面白いなぁと思います。
伽羅では無いのは確かだと感じておられて伽羅のグループの中には入れず、他の沈香とひとまとめに保管されていたのかも知れません。
断面等を見ると、かなり使われていた形跡が見受けられますのに、木所の分類が未だなのも不思議に思えます。

他の古木と同様に、竹皮紙が無い時代のものと推察されます

他の古木に比べて特徴的なのは、この真那賀の場合、樹脂化の密度が比較的に濃いことです。

典型的な沈香の真那賀の一例と言える「顔」(木肌の風合いや木目の雰囲気)

『浪花芦』・『春雨』・「仮銘 過ぐる春」・「仮銘 夢路」はいずれも樹脂化の密度が薄い部分の立ち方に味わい深さが感じられて、一方では濃い部分からは圧倒的とも言える力強さに感嘆することもあって、また火加減の強弱による味わいの変化の妙味も面白くて、古木ならではの愉しみを満喫させてくれます。
それに比べてこの真那賀は、とても安定して特有の曲(くせ)を感じさせ続ける印象があります。

樹脂分の密度が濃いので、炷き始めから濃厚に真那賀に特有の曲を感じさせるのかと思いきや、さすがの古木ゆえか、決して派手な立ち方はしません。
むしろ抑制がきいているかのように控え目で穏やかに、それでいて安定して持続的に麗しい香気を放ち続けてくれます。

次の和歌を証歌として、「仮銘 花の通ひ路」と名付けさせて戴きました。

かすみゆく宿の梢ぞあはれなるまだ見ぬ山の花の通ひ路
                    (九條良経)(秋篠月清集)

稀少な古木の沈香の真那賀第3弾を、どうぞお愉しみ下さいませ。


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