お知らせー「仮銘 春風」の分木について

12月の推奨香木の分木開始に備えて截香し始めたところ、全く想定しなかったわけでもないのですが、想像を超える事態に直面してしまいました。
塊の内部が、ちょうど真ん中あたりで空洞になっていたのです。

春風②

わかり辛いですが「仮銘 春風」の断面です。
真ん中に溝が走っていますが、実は溝は奥までつながっていて、まるでウエハースやハムサンドのように、中に香木以外の部分が挟まれている感じです。
この断面と並行して約4㎜のところを挽いてみます。

春風③

写真の上が塊の外側、中が断面、下が内側です。
内側には、厚み約1㎜の朽ちた木部のような組織がついています。
その組織を愛用のデザインナイフで削り落としてみます。

春風④

ざっと掃除し終えました。
これらの「朽ちた木部」を加熱してみますと仄かに真南蛮の香気を放ちますから、想像に過ぎませんが、かつて一度は樹脂化を遂げた後に何らかの理由で内部の割れ目に水分が浸食し、数十年~数百年の間に割れ目の周囲を朽ち果てさせたと考えられます。
朽ちた部分も香木の一部とは言え、聞香を愉しんで戴く場合には本来の香気を邪魔する存在になってしまいますから、分木の対象には出来ません。

そんな訳で、分木は挽いてからウエハースのクリームにあたる部分を削り落として截香することになり、掃除が不十分な箇所が残ることも有り得ますので、念のため既定の重量より若干多めに計量させて戴きます。

もしご自身で掃除の仕上げを愉しまれる場合には、適切な道具の一例として「コ〇ヨのデザインナイフ」をお奨めします。
写真のものを何十年も使っていますが、まだ現役で売られている筈です。

デザインナイフ

塊を手にして「軽い香木やなぁ~」と感じてはいましたが、中が空洞になっているとは考え及びませんでした。
香気も軽やかなほのぼのタイプの真南蛮を、ぜひお愉しみ下さいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?