山田星彦〈文章・写真〉

作品の記事はマガジンに分類しています。 作品および表紙画像など全て自作で、代筆・AI…

山田星彦〈文章・写真〉

作品の記事はマガジンに分類しています。 作品および表紙画像など全て自作で、代筆・AI等は使用していません。 大学首席中退・永世無職・文豪見習い・村のシティボーイ。

マガジン

  • ショートエッセイ

    喫茶店で、ぼーっとしているような、短い文章です。

  • 霊石典

    ことばには、目には見えない力が宿っています。霊石典では、ひとつの記事でひとつの語句を取り上げ、意味や印象、類語や用例などを探るとともに、その言葉を文章表現にどう活かすかについて、実例を交えて考察します。

  • 文芸学習

    文学や芸術について学べる記事を集めました。

  • 日記

    日記です。日々のできごとや、ふと思ったことを書いています。

  • 【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル

    小さな本屋エクリルエマチエルを舞台に、本にまつわるさまざまな物語が綴られます。話はエピソード(折と表記)ごとに独立しているので、気になるものからお読みください。

記事一覧

固定された記事

山田星彦のまとめページ

 こんにちは!山田星彦です。  私のページをご覧いただき、ありがとうございます。  この記事では、何から読んでいいか分からないという方のために、作品を紹介したり…

【ショートエッセイ】コーヒーブラウンとレモネードイエロー

 うちの近くには酒蔵が多くて、そのまわりには古い民家がたくさん残っている。かっこよくいえば、古民家というやつだ。  その地域は、ひとすじ通りをはいると車も通らな…

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【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈4〉長沢佑『レポーター』

霊石典〈おしらせ・索引〉  この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。…

【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』②ひきかえの憂鬱

 前回の記事で、梶井基次郎が『檸檬』で見せた詩才あふれる文章を紹介しました。  しかし、その感性は鋭敏すぎるがゆえ、やがて作者の神経をすり減らすこととなります。…

【ショートエッセイ】くだらない毎日

 とくに用はないのだが、だいたい平日の午後は出かけることにしていて、もちろんどこに行くのもひとりだ。  どうせ目的なんてないからいいけど、べつに楽しくはない。む…

【表現辞典】霊石典[じんじん(ジンジン)]

霊石典〈おしらせ・索引〉  今回は[じんじん(ジンジン)]です。  [じんじん]は擬態語です。擬態語とは、ものの様子を音に置き換えて表したものです。[すっきり]…

【日記】ファッションセンスもレジェンドだった

■お礼  今週も記事を読んでいただき、ありがとうございます。購入していただいた方もいて、嬉しいかぎりです。  これからは、もっと短く読みやすいものも増やしていく…

【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑦

小さな本屋 エクリルエマチエル 扉(概要・目次) 〓 〓 〓 〈一折目の物語〉 エクリルエマチエルの秘密 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 〓 〓 〓 エクリルエマチエ…

なかなかイカしてるパンだ。

【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈3〉岡本かの子『娘』

霊石典〈おしらせ・索引〉  この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。…

【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』①無垢な感性がとらえる美

 今回から、梶井基次郎の『檸檬』を取りあげます。  『檸檬』はとても短い作品ですが、梶井基次郎の代表作として広く知られています。その文章は病的なほどに美しく、そ…

蚊は網で捕る。虫とり少年。

【表現辞典】霊石典[つむぐ(紡ぐ)]

霊石典〈おしらせ・索引〉  今回は[つむぐ(紡ぐ)]です。  「経糸と緯糸で紡ぎ出されたストーリー」という表現には、大きな間違いが含まれています。どこが間違いか…

【日記】一段落したけどまだまだ

■お礼  おかげさまで、記事をすこしずつ買ってもらえるようになりました。ありがとうございます。これからは、今の記事公開を続けながら、ショートエッセイや短編小説も…

【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑥

小さな本屋 エクリルエマチエル 扉(概要・目次) 〓 〓 〓 〈一折目の物語〉 エクリルエマチエルの秘密 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 〓 〓 〓 エクリルエマチエ…

【記事紹介】モナリザが笑うということを、この記事で体験していただけます

 前回につづき、こちらの記事を紹介します。  とにかくモナリザは笑います。  これから、そのやりかたを書きます。 ①じっとモナリザの顔を見る。 ②連続でまばたき…

山田星彦のまとめページ

山田星彦のまとめページ

 こんにちは!山田星彦です。

 私のページをご覧いただき、ありがとうございます。

 この記事では、何から読んでいいか分からないという方のために、作品を紹介したり、マガジンをまとめたりしています。

■どんな人? 私は主に小説を書いてnoteに発表しています。作品は、童話・娯楽小説・純文学まで幅広く、テーマも作風も様々ですが、どの作品も「ふかく、たのしく、うつくしく、わかりやすい」ものを目指して

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【ショートエッセイ】コーヒーブラウンとレモネードイエロー

【ショートエッセイ】コーヒーブラウンとレモネードイエロー

 うちの近くには酒蔵が多くて、そのまわりには古い民家がたくさん残っている。かっこよくいえば、古民家というやつだ。

 その地域は、ひとすじ通りをはいると車も通らないし、人影もまばらでとても静か。ときどき猫が歩いてる。

 よくそのあたりを散歩するのだが、「あれ?こんなところになんかあったかな?」という場所に、見なれぬ店があった。いや、たぶん店だけど、もしかしたらただの民家かもしれない。看板とかはな

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【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈4〉長沢佑『レポーター』

【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈4〉長沢佑『レポーター』

霊石典〈おしらせ・索引〉

 この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。言葉に興味を持つきっかけとして、あるいは、言葉をさらに深く理解する参考として、ぜひ本編の記事とあわせてお読みください。

長沢佑『レポーター』(青空文庫)

 空っ風は山を吹き降りてくる乾いた風で、この文章では、「硝子屑のような」と「鋭い

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【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』②ひきかえの憂鬱

【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』②ひきかえの憂鬱

 前回の記事で、梶井基次郎が『檸檬』で見せた詩才あふれる文章を紹介しました。

 しかし、その感性は鋭敏すぎるがゆえ、やがて作者の神経をすり減らすこととなります。それにより生まれた苦しみを、梶井基次郎は作中で「不吉な塊」と名づけているのですが、それはまるで、強い光につきまとう濃い影のようなものです。

 この記事では、作者が不吉な塊に苛まれる様子と、その先に求めた新たな美しさを探ります。

梶井基

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【ショートエッセイ】くだらない毎日

【ショートエッセイ】くだらない毎日

 とくに用はないのだが、だいたい平日の午後は出かけることにしていて、もちろんどこに行くのもひとりだ。

 どうせ目的なんてないからいいけど、べつに楽しくはない。むしろ、つまらなくて、家にいれば良かったと後悔する日もある。まあ、気晴らしくらいにはなるのだろうが、そもそもこの脳内に、なにか晴らすべき憂さがたまっているとも思えない。

 ではじっさい、外に出て何をしているかというと、たとえば、喫茶店で珈

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【表現辞典】霊石典[じんじん(ジンジン)]

【表現辞典】霊石典[じんじん(ジンジン)]

霊石典〈おしらせ・索引〉

 今回は[じんじん(ジンジン)]です。

 [じんじん]は擬態語です。擬態語とは、ものの様子を音に置き換えて表したものです。[すっきり]や[きらきら]なども擬態語で、そのものが持つ印象をダイレクトに感じ取れます。

【日記】ファッションセンスもレジェンドだった

【日記】ファッションセンスもレジェンドだった

■お礼

 今週も記事を読んでいただき、ありがとうございます。購入していただいた方もいて、嬉しいかぎりです。

 これからは、もっと短く読みやすいものも増やしていく予定です。とりあえず、ショートエッセイあたりを……

■今週の記事

〈↑〉服好きとしては、ぜったいに外せない言葉のひとつ[紡ぐ]。比喩的に使っても印象ぶかい言葉。

〈↑〉梶井基次郎の『檸檬』をはじめる。

〈↑〉次の記事で一折目の物

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【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑦

【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑦

小さな本屋 エクリルエマチエル

扉(概要・目次)

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〈一折目の物語〉
エクリルエマチエルの秘密
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

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エクリルエマチエルの秘密⑦

 ペルエに説明してもらって、ようやくクータにも、この部屋で本が作られる工程が見えてきました。しかし、それは本の作り方を知っただけ。これからクータはどこでどう働けばいいのでしょう。さっき先輩の小人に「邪魔するな」と言

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【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈3〉岡本かの子『娘』

【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈3〉岡本かの子『娘』

霊石典〈おしらせ・索引〉

 この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。言葉に興味を持つきっかけとして、あるいは、言葉をさらに深く理解する参考として、ぜひ本編の記事とあわせてお読みください。

岡本かの子『娘』(青空文庫)

 腹が減りすぎて、「くく、くく」と笑いが込み上げてくる様子を描いています。私はこれま

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【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』①無垢な感性がとらえる美

【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』①無垢な感性がとらえる美

 今回から、梶井基次郎の『檸檬』を取りあげます。

 『檸檬』はとても短い作品ですが、梶井基次郎の代表作として広く知られています。その文章は病的なほどに美しく、それでいて他に類をみない斬新な結末が読者を驚かせます。これから数回の記事で、『檸檬』がその一顆の作品に秘める、詩と物語の奇跡的な融合を、みなさまに味わっていただきたいと思います。

 今回の記事では、『檸檬』の読みどころのひとつである、詩的

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【表現辞典】霊石典[つむぐ(紡ぐ)]

【表現辞典】霊石典[つむぐ(紡ぐ)]

霊石典〈おしらせ・索引〉

 今回は[つむぐ(紡ぐ)]です。

 「経糸と緯糸で紡ぎ出されたストーリー」という表現には、大きな間違いが含まれています。どこが間違いか分かるでしょうか?[紡ぐ]の本来の意味を正しく理解しましょう。

【日記】一段落したけどまだまだ

【日記】一段落したけどまだまだ

■お礼

 おかげさまで、記事をすこしずつ買ってもらえるようになりました。ありがとうございます。これからは、今の記事公開を続けながら、ショートエッセイや短編小説も書いていこうと思います。あまりやったことのない分野だけど、気軽に読めたり、ためしに買ってみたりしやすいものとして、すこしずつ取り組んでいこう。まだまだ精力的に執筆活動に取り組んでいきます。どうぞ、よろしくお願いします。

■檸檬

 次回

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【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑥

【娯楽小説】小さな本屋 エクリルエマチエル〈一折目の物語〉エクリルエマチエルの秘密⑥

小さな本屋 エクリルエマチエル

扉(概要・目次)

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〈一折目の物語〉
エクリルエマチエルの秘密
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

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エクリルエマチエルの秘密⑥

 その時です。クータの頭のうえで、ケラケラという笑い声がしました。そして、その愉快そうな声とともに、こんな言葉がクータに投げかけられました。
「ははっ!新入りは辛いねぇ」
クータは壁際に立っていました。それは部屋の

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【記事紹介】モナリザが笑うということを、この記事で体験していただけます

【記事紹介】モナリザが笑うということを、この記事で体験していただけます

 前回につづき、こちらの記事を紹介します。

 とにかくモナリザは笑います。

 これから、そのやりかたを書きます。

①じっとモナリザの顔を見る。
②連続でまばたきする。
③10回くらいまばたきしたら、またじっと見る。
④また、まばたきをする。

 要するに、じっと見ることと、連続まばたきを繰り返すのです。

 すると、じっと見ているときと、まばたきをしているときで、モナリザの表情が変わって見え

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