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音楽の未来を考える時に大切にしたいこと。音楽未来会議レポート。Vol.2来てね

 音楽に多少なりとも、もしくはものすごく興味のある若い世代に、音楽をポジティブに、重層的に立体的に捉える機会にしてもらえたらなというのが「音楽未来会議」を3人で始めた動機です。
 2月10日に行われた第1回「ヒットとブレイクの10年」は、おかげさまで好評だったようです。テクノロジー、ビジネス、音楽のトレンド、社会現象などを縦横無尽に話すというコンセプトで、しかも柴那典、脇田敬両氏の知識量が豊富なので、ファシリテーター的な立場としては難儀な進行でした。脱線しすぎないように、タイムキープも意識しながら、トピックを進めていきます。ジューシーな話って、ちょっとアジェンダからはみ出た時に起きがちだったりするんですよね(笑)。オンラインで観ている人にも伝わえるようにと考えながら、僕自身も言いたいことは多い方なので、色々コントロールしなければならず、トークイベントには慣れているつもりの僕もドキドキでした。事後のアンケートが概ね好評だったのを見てホッとしました。書籍化を予定していることもあって、フル動画は公開しない方針です。簡単なレポートをまとめておきます。


ヒットとブレイクの10年

アジェンダとしては、
●音楽未来会議とは?
から始めました。脇田敬との共著「音楽デジタルマーケティングの教科書」の出版記念イベントのゲストスピーカーで柴さんに来てもらって3人で話してみたらめちゃ面白かったというのが企画のキッカケです。せっかくやるならということで、リットーミュージックに相談して、年4回のトークイベントをまとめて、書籍化するということにしていただきました。2024年の今年は時代の変わり目にいるという感覚が3人共通だったので、「これまでとこれからの10年」というサブタイトルで未来予測をするという軸で話そうということになりました。

●Billboard JAPANが変えたヒットチャート
ヒットとなるとランキングの話から入るのがよいかなと。特にビルボードチャートがオリコンとポジションが入れ替わり、デジタルベースのランキングが世の中的にも主流になったこと、そうなった理由と、なったことによる今後の影響などを話し合いました。特にexclud.Japan(日本市場を除いた日本楽曲の)ランキングへの期待感などで盛り上がりました。
 ちょうど僕が企画監修をして、柴さんにも対談で参加してもらっている『ビルボードジャパンの挑戦 ヒットチャート解体新書』の出版直前に面白い話ができたかと思います。

●YOASOBIはどんなゲームチェンジャーだったか?  
 昨年から今年の最大の注目はYOASOBIの「アイドル」などのグローバルなデジタルヒットです。ユーザー投稿小説サイトの「企画」として始まったアーティストの存在自体の新しさ、ヒットの広がり方の新時代感などを観客と共有するようの心がけました。

●TikTokは音楽をどう変えたか
イベント直前にユニバーサルミュージックとTiktokの契約更新決裂のニュースが飛び込んできて、ホットなテーマになりました。世界最大のシェアを持つレーベルと、近年の多くのヒットの震源地になっているショート動画UGMの争いをどう読み解くかは注目度が高かったです。
 アーティストの意向、スタンスがポイントになるよねというのが一致した見解でした。ユニバーサルは、音楽ビジネスの中心であるというプライドが強いので、存在感を示すという意味が強いだろうこと、同時に交渉上手でもあるので、好条件を引き出してあっさり再契約する可能性もあるという僕の見解を10年前にYouTubeに対して「バリューギャップ問題」があったことセットで、説明しました。こういう時事ネタを3人で話せると複合的になりますね。

●グラミー賞から見えるシーンの変化
グラミーも発表直後のタイミングでした。二人が超詳しい領域なので、僕は聞き役に徹しましたが、まさにグラミーの歴史を俯瞰して掘りながら、世界の中心出るアメリカ音楽界の魅力と欠点と変わろうとしている姿を、日本からどう見るかみたいな話ができたと思います。文化的な視点だけではなく、メディア論、ビジネス論、グラミー選定委員会の仕組みの分析などが混じるのが、「音楽未来会議」ならではの掘り下げ方ですね。

●2030年代のヒットはどこから生まれるか
 最後のトピックですが、これはシリーズ通じたテーマにもなると思います。そして最初に柴くんが答えを言ってくれました。「僕ら音楽の専門家のおっさんにはわからない。若いユーザーたちが決めること」僕もそう思います(笑)。でも、無知の知というように、わからないことを前提に探る姿勢は大切だと思っています。次回以降も話していきたいです。

次はライブとフェスの10年

 ということで、次回のテーマは「ライブとフェスのこれまでとこれからの10年」です。
 音楽はライブが最も大切だし、魅力的であるというのは、100年前から変わっていませんが、ビジネスにおける存在感は大きく変わっています。特にフェスのキャスティングが、音楽のトレンドの象徴になったというのは大きな変化だったと思います。
 ビジネス的には、コロナ禍の打撃はありましたが、立ち直って再成長という予測がされています。

最新音楽の動向とカラクリがよくわかる本から

 トレンド的にもビジネス的にも音楽界の中心になっている「ライブとフェス」は、日本においても大きなテーマです。インバウンドが主要産業になっている時代に、訪日外国人の取り込みが足らないなど課題はたくさんあります。
 今回も文化面、ビジネス面、メディア論など、多方面から語り合いたいと思いますので、是非、ご参加ください!!

次世代の音楽ライター、キュレーターに活躍の場を

 Vol.1の打上げで3人で話していて、「音楽未来会議」の裏テーマが見つかりました。日本の次世代の音楽ライターを育てることです。以前は、レコード会社が音楽ビジネス生態系の幹をなしていて、その宣伝費を原資に、音楽雑誌などが多数発行され、音楽ライターに原稿料が払われて回っていく仕組みがありました。若いライターにも仕事があった訳です。
 デジタルがメディアの主戦場になったことで、ライターが育つ環境が失われています。というか、もう誰でも音楽についてSNSやBlogに書けるし、音楽メディアの役割も限定的になっていて、「従来型の音楽ライター」は必要でなくなったという意見もあります。
 しかす、音楽文化の育成というような観点で見ると、音楽のエキスパートで、ユーーザーとアーティスト、作品を繋ぐ役割の重要性はデジマル時代にむしろ高まっています。ストリーミングサービス各社はAIを活用したリコメンドやプレイリスト作成に向かっていますが、個人と個人が繋がる時代だからこそ、個人が伝えられる音楽の価値はあるはずです。今どきの言葉で言うならライターよりキュレーターになるのでしょうか。Spotifyの公式プレイリスト、キラキラポップの選曲をしているふくりゅうさんは自らを「音楽コンシェルジュ」と名乗っています。音楽にアイデンティを持った、「つなぐひと」を音楽ビジネスをしている人達とコミュニケーションが取れる距離感にいてほしいなと思います。
 ふくりゅうさん、柴那典さんと大活躍してくれていますが、40代後半です。年齢だけが重要なわけではありませんが、若い世代にも活躍してもらいたいです。海外(主に英語)の音楽ビジネスの情報を翻訳するだけではなく、日本向けにわかりやすくに共有するような役割もMusicAlly編集長を務めるジェイ・コウガミ君1人に頼り過ぎだなと感じています。3人とも、まだ「駆け出し」の頃からよく知っていて、大活躍して実績を積み上げ、「大御所」になっている様子は我が事のように嬉しいのですが、新しい顔をもっと見たいです。「音楽未来会議」を通じて、ポストふくりゅう、柴フォロワー、ネクストジェイみたいなポジションの層を厚くしていくキッカケにしたいです。音楽を聴くのがどうしようもなく好きで、音楽について語ったり、紹介したりすることに喜びがあって、仕事にしていきたいと思ってい は、この「音楽未来会議」の場を活用して自己実現してもらいたいです。応援しますから、連絡ください。毎回、リアルでの懇親会もやっていきます。

 そんな「野望」を持って、音楽未来会議続けていきます。次回5/12(日)15時~神保町orオンラインでお待ちしています!!

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