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暮らしの薬学【局方品・掃除編】~④ナチュラルクリーニングの使用上の注意

ナチュラルクリーニングというと、自然で安全というイメージがありますが、それぞれに使用上の注意があるからちゃんと確認してから使用してくださいね。

まぜるな危険!

ナチュラルクリーニングでは、重曹の他によく使われているのが「クエン酸」です。酸性の性質を活かし、水垢などのアルカリ性の汚れを中和して汚れを落とします。電気ポットの底のざらざらを溶かしてきれいにする洗剤として有名ですね。その他には消臭や除菌、漂白さらには柔軟剤としての働きもあります。

しかし、クエン酸と塩素系漂白剤を一緒に使用すると化学反応を起こして塩素ガスが発生するので台所なので使用する際には要注意です。クエン酸を掃除用として販売している商品表示には「まぜるな危険」と書かれているため注意を払うことができますが、クエン酸には、食品添加物や雑貨品もありその商品表示には記載がありません。用途は違えども同じ成分なのでその性質をしっかりと覚えておきましょう。(参考:【家庭用洗剤・消毒/漂白編】~③漂白剤の選び方と注意事項
また、クエン酸は金属封鎖剤として洗濯用洗剤にも含まれていることから、洗濯時には洗剤が残らないようにしっかりすすぎをしてから、あるいは塩素系漂白剤で漂白したのちはすすぎをしっかりしてから洗濯するようにします。

ヘチマ水を採取

Q.ヘチマ水の作り方を教えてください。

肌が弱く、添加物が合わないなど、市販の化粧水が使用できない方などが手作り化粧水を自宅で作製する方が増えてきました。ヘチマなどの植物成分を用いたヘチマ水の作り方と使用上の注意事項を説明します。

<用意するもの>
・ヘチマ水・・・500mL
・グリセリン(*1)・・・50~100mL 
・エタノール(無水または消毒用エタノール)・・・100~120mL
・ろ紙・・・コーヒーフィルター用を数枚
ポイント!冬用、乾燥肌にはグリセリンを多めに、夏用、脂性肌にはエタノールを多めにします。

<作り方>
1. ヘチマ水(*2)を何枚か重ねたろ紙でろ過する。
2. 1.にグリセリン、エタノールを加えて混ぜる
3. 清潔な瓶(容器は事前に必ず洗い、熱湯で消毒)に移し、冷蔵庫で保存する。
*1 グリセリンには“化粧品用”グリセリン85%含有というものと、“第2類医薬品”の1mL中に日局グリセリン1mL含有がありますが効用から化粧品用を使用する
*2 ヘチマ水の採取方法
①ヘチマの実を採った後、茎を地上から50㎝位の部分で切り、空のペットボトルに根のついた方の茎の先を10㎝ほど入れる。
②ごみや雨水が入らないように、ラップで上部を包み、テープでとめる。浴育ったヘチマだと、一晩で1~2リットルほどのヘチマ水がとれます。

<注意事項>
・嫌なにおいがするなどおかしいと感じたものはすぐに廃棄してください。
・手作り化粧品でも必ずパッチテストをします。1日2回、二の腕の内側に塗り、48時間何も反応がなければ使用は可能です。
・使い始めてから赤み、かゆみ、湿疹などの症状が出たらすぐに使用を止めます。また、しばらくたってからこのような症状が出た場合は、アレルギー性接触性皮膚炎の可能性もありますので、医療機関を受診します。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書


●自分の皮膚症状と皮膚の接触アレルギーの関係を確認したいそんな方に「パッチテスト」
(e-アレルギー.com 佐藤製薬)
https://www.e-allergia.com/inspection/index.html
●家じゅうの掃除は、5つの洗剤があればいい。汚れを“化学して”落とす「ナチュラルクリーニング」術(KOKOCARA)
https://kokocara.pal-system.co.jp/2019/11/11/natural-cleaning/
●塩素系の漂白剤や洗浄剤の表示にある「まぜるな危険」とは?(花王)
https://www.kao.com/jp/qa/detail/16568/

<参考図書>
重曹・セスキ・クエン酸・アルコールでナチュラルおそうじアイデア集

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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。