プロの相手目線の持ち方
相手の立場になってものを考える、相手の目線を想像してみる。
20歳までには一度は聞いたことがある言葉ですよね。ところがどうも、人によってとらえ方が異なってると気づきました。対人支援に関わるひとは、相手目線の正しい認識をおさえておくと必ず役に立ちます。
今回は猫さんと蝶の関係から、相手を猫さんにして目線を考えてみようと思います。
次の猫さんの目線を想像すると、どんな感じになりますか?
なんの意識もせずにぼーっと眺めて、猫さん目線をあえて図にするとこんな感じ。
蝶にちょっかい出そうとしてる猫がいるなってついつい決めつけて、目線を考えちゃいます。
蝶と猫さんの関係は、僕が生きてきたなかで、何度となく“猫さんのいたずらの対象”として描かれてきています。僕は、そのとおりに思い込んで見てしまいます。
この僕の思い込み通りに見た、猫さんの目線を相手目線1.0とでも言いましょう。普通に生活してると、こんな風に見てると思います。
1.0があるということは2.0があります。対人支援のプロは2.0以上を使いこなすかどうかで、支援の質が大きくかわります。
相手目線2.0
対人支援の大家であるロジャースは“相手の目から世界をみる”と表現しています。
つまり、こういうこと
相手目線2.0は、相手に重なって世界をながめると、こういう世界だったりします。これは物理的に重なって見た景色です。
こうしてみると、あ、蝶なんて見てなかったんだ。景色を眺めてたんだってきづきます。こうしてみると“猫は蝶を見るものだ”という思い込みを捨てることができます。
まだ続きがあります。
相手目線3.0
猫さんの人生(にゃー生)を聞いてみましょう。
私「猫さんは今なにを思い出していたんですか?」
猫さん「私は捨て子猫でした。人間に捨てられた私はわけもわからず鳴いていました。すると黒い猫が私をひろってくれました。彼女は、私の母代わりになってくれたんです。母は、よく綺麗な黄色の菜の花ばたけに連れていってくれました。ちょうど、ここような景色でした。母はもういませんが、黄色の花をみると一緒に駆け回ったあの時の気持ちになるんです。」
この話をきいてみると、猫さんの目線にはこんな世界が見えているんだろうなとわかります。そして何とも言えない気持ちが流れてきます。
相手目線3.0は心情的にも、猫さんに重なってその景色を眺めています。実はロジャースのいうその人の目を通してみるという言葉の中には、相手の人生を通して相手の見ている世界を見ようとすることと言っています。
ここまでやった上で、僕はいつも思い出す言葉があります。
「どこまで相手のことをわかろうとしもわかることなんてない。だからわかろうとし続ける必要がある。」
俳優の山田孝之さんが言っていた言葉です。実際の人物を演じるときにその人の事を勉強してわかろうとする時に心に留めてることだそうです。
こんだけがんばって、最終的には手放すという何とも言えない話ですけど、やっぱり大切にしたい考え方ですね。
まとめ
相手目線1.0は、自分の目からみてるので思い込みが入りやすい
相手目線2.0は、物理的に重なって見ようとする
相手目線3.0は、生きてきた物語を含めて重なって見ようとする
最終的には、それでもやっぱり“わかることはない”からわかる努力をする
おまけ
相手目線の訓練の仕方
・物理的に合わせてみる
物理的に同じ目線の位置をとる、同じ姿勢をとってみる、同じ体験をしてみる、同じ顔をしてみる
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