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吉祥寺の文化はまだ残っていますか?

吉祥寺に比較的近い場所に数年住んでいる。「吉祥寺に住んでいる」と言えるほど近くはないが、徒歩で十分いける距離だし、自転車なら一瞬である。休みの日などに、奥さんとときどき遊びに行く。

吉祥寺は人気の街らしく、「住みたい街ランキング」ではいつも上位である。確かにいい街ではあるが、近くに住んでいる実感としてはそんなに上位になるほどかな? とは思う。

しかし、買い物は一通りできるし、散歩できる大きな公園もあり、人気の飲食店も豊富、映画館もいちおうあるので、コンパクトにひとつにまとまっている街、という印象だ。徒歩ですべての用事が足りる街、という点では確かにいいかも。

自分は食事をしに行くのがメインで、たまに献血をしたりする程度、用事が終わったらさっさと帰ってしまうことが多く、あまり楽しめていない、ということはあるかもしれない。吉祥寺は文化的な街だとされることが多いのだが、あまりそういうところには触れていないかも。

昔はジャズ喫茶がたくさんあったらしい。ジャズ喫茶というのは、ただ単にジャズが流れている喫茶店というだけではなく、「ジャズを高音質で楽しめる場所」であり、むしろ音楽を聴きにくる場所だったのだとか。

今では考えられないことだが、初任給が15000円ぐらいの時代にレコードは3000円ぐらいしたので、ふつうの若者はなかなか自分のレコードを買うことができなかった。いまの金銭感覚に変換すると、レコード一枚45000円ぐらい、ということだろうか? それは確かに高い。

なので、そういうジャズ喫茶みたいな業態が成立した、ということのようだ。要するにライブハウスのような位置付けなので、なかには私語禁止のジャズ喫茶もあったのだとか。

自分の母親もジャズ好きなのだが、世代的にはまさにその世代である。そういえば、作家の村上春樹も、学生起業してジャズ喫茶を経営していたような。

いまはレコードが安くなったどころか、ストリーミングでいくらでも聞ける時代なので、いまの10代にとってはそんな商売が成立していたとは信じられないだろう。自分はCDを買ったりしていたギリギリの世代だが、いまの20代以下はそもそも「音楽を買う」ことさえピンとこないかもしれない。

時代が移り変わり、文化が変化した……、ということなのだが、変化というよりは単に「破壊」のような気がしてならない。昔からあった文化はほぼすべてネットに移行してしまい、土地に根付く文化がなくなったのではないか、と思う。

以前の会社の近くだったので秋葉原もよく買い物などに行っていたけれど、いまではそれほど固有の文化があるような感じもしないし。まあ、強いていうならメイド喫茶とかだろうか。そういうところには行かないので自分にはあまり関係なかったのだが。一番よく通い詰めたのは、ブックオフの近くにあるゴーゴーカレーである。

いまの時代、土地に根付く人気のものがあるとしたらSNSで人気のある飲食店とかだろうか。しかしそれだって、メインの「立地」は電子上にあるわけで、現実世界にあるわけではない。

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