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会社員は出世すべきですか?

会社員は出世すべきだ、と言われる。最初の会社に入社したとき、取引先の人にそう言われた。自分も基本的にはそう思う。至極単純ではあるが、とりあえず会社員として働くからには、基本的には仕事を頑張って出世を目指すのがいいのでは、と。

最近は出世を目指さない人も多いと思うが、とりあえず目指すことに損はない。出世したくない人は、出世すると仕事がしんどくなるから嫌だ、と思っているのだろう。しかし僕はいい加減な性格なので、出世してしんどくなったら、辞めちゃえばいいのでは、と思っている。やめる時に、なにかしらの実績や肩書きがあったほうが再就職はしやすいはず。そういう考え方なのである。

そういう考えのもと、20代のときに管理職をやっていたら、心身ともにぶっ壊れそうになったので、本当に会社を辞めた。当時としては大きな決断ではあったが、そこで会社を離れたことで得られたものは大きい。

面白いのは、心身ともにぶっ壊れそうになりながらやった経験がその後にも確実に生きているということだ。苦労は基本的には無駄にならないというか、大変だった経験はなんらかの形で生きてくるんだな、と。

出世や昇進をしたときわかるのだが、ヒラ社員との最大の違いは、管理職はプレイヤーではない、ということだ。もちろん、プレイングマネージャーなど、プレイヤーと並行して管理職をやるケースもあるが、それは純粋な管理職ではないと思う。

管理職は人とプロジェクトを管理するのが仕事である。予算をとってきて、スケジュールを引いて、人員を確保して、物事を前に進めていく。欠員が出たら補充をし、スケジュールが遅れていたらケツをたたき、トラブルが起きたら火消しに行き、クレームが起きたら謝罪にいく。

管理職だったりプロジェクトマネージャーというと聞こえはいいけれど、結構泥臭いな、と。そもそも部下からの文句と上司からの注文のあいだで板挟みになるのが中間管理職というもの。基本的に出世しようが苦労は絶えない。

実業家の清水亮という人が、ニコニコ動画の創業期に同社で働いていた経歴をもっている。同社創業者の川上量生が、創業当時にどういう働き方をしていたのかについて触れていた。

いわく、プログラマーの灰皿を片付けたり、買い出しのようなことをやっていたのだという。社長なのにそんな雑用ばかりしていていいのかな、と思ったらしい。

しかし、よくよく考えてみると、社長の仕事はプログラマーに気持ちよく働いてもらうことであり、ちゃんとお給料を払うことだ。なので、川上氏は社長としてちゃんとその責務を果たしていたとも言える。

ダイナミックに働く姿だけが社長の姿ではない。ときには買い出しに行き、スタッフのために夜食をこしらえるのが社長の仕事らしい。

自分も20代の管理職だった頃は、とにかく会議ばかりだった。会議と、会議のための資料作成と、欠員の穴埋め作業ばかり。やっていて全然楽しくはなかった。

でも、それが「仕事」の本質なのかも。まるごと仕事を動かすことって、想像している以上に大変だし、視点を広く持たないとできない。20代の頃は「管理職って思ったより泥臭いし、穴埋めばっかりだな」と思っていたけれど、まだそのときには必要な視点が獲得できていなかったのかな、と。

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