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なぜミュージシャンはうつ病になるのか?

バンド「サカナクション」の山口一郎が病気を公開したインタビューを読んだ。

体調が悪いとは聞いていたけれど、ストレートにうつ病だったらしい。多忙で大変だった時期があり、そのときに結構負荷がかかってしまったのだとか。

こういったものは事前に危険信号的なものがあると思うのだけれど、そういうものを無視して突っ走ってしまい、大変なことになってしまった、ということだろうか。人間、忙しすぎると「忙しい」ということを無視するようになる。「まじめな人ほど鬱になりやすい」とはそういうことなのだろう。

うつ病になったことがある有名人が書いた本を何冊か読んだことがあるが、多忙で睡眠が十分取れなかったりすることが続くと、精神に過剰な負荷がかかり、うつ病になってしまう、というケースが多いようだ。生命の防衛本能というか、そういうシステムのような気がしなくもない。

電流が過剰にかかることを防ぐためのヒューズのようなものなのかもしれない。自分はいまのところは全く心配はないのだけれど、気をつけなければならないな、と思う。

最近、音楽的な感性って25歳ぐらいまでに固まるんだろうな、という仮説を立てている。だいたいどんな人でも25歳ぐらいまでに聞いた音楽がその人のベースになり、その後もだいたい同じ音楽を聞いていく傾向にある気がする。

ジャズが好きなおじさんはたくさんいるが、多くは学生時代にジャズを聞いていたとか、そういうバックグラウンドがあるのだろう。もちろん、新しく出てくる音楽を好む高齢者もいるかもしれないけれど、おそらく少数派だし、そういった人も新しい音楽ばかり聴いているわけではないだろう。

これは作り手も同じような感じではないか、と思っている。ミュージシャンとしての旬はだいたい25歳ぐらいまでだろう。そこである程度の地位を作り上げれば、それを発展させるような形でその後も活躍できることはあるかもしれない。しかし、大枠はだいたい25歳ぐらいまでにできる、と。

いまも活躍している90年代ぐらいのアーティストを思い浮かべても、当時から音楽性はそれほど変わっていないな、と思う。そのほうが売れるからというのもあるかもしれないが、その人の軸が定まってしまっているのだろう。

そういう環境は結構過酷で、繊細なミュージシャンほど影響を受けてしまうんだろうな、と思う。25歳ぐらいで音楽的な感性がある程度固まるという仮説を適用すると、新しく出てくるミュージシャンの「良さ」が年々わからなくなる、ということだ。

さらに、自分たちの音楽性もそう簡単には変えられない。想像すると確かにしんどい。若くして死ぬミュージシャンも多いが、そういう意味でも25歳ぐらいがひとつの壁なのかな、と。

人間は前に進んでいる感覚がないと精神的にきつい、という話がある。発展している感覚があれば物事は楽しめるけれど、衰退していくのはきつい。

実際にはそれなりに豊かであったとしても、若い時の資産で食べていく感覚は、それなりにきついのかもしれない。地方巡業でコンサートを開いて食べている歌手などはたくさんいると思うのだけれど、そういう人はほかに楽しみを見つけているのだろうか。

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